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選手発信の「#Vリーグはバレーだよ」。
バレー界に芽生え始めた見せる意識。
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph byV.LEAGUE
posted2019/10/29 11:30
W杯で活躍した西田有志らのプレーに注目が集まるVリーグ。10月26日に男子1部が開幕し、レギュラーラウンド後に上位5チームによるプレーオフが行われる。
まずは楽しんでもらえる環境を。
では選手側が考える、ビジネス化するリーグの目指す姿とはどんなものなのか。野瀬は言う。
「僕らは、正直に言えば誰か有名人を呼ぶとか、プロジェクションマッピングなどのショーをするとか、そういう派手なことはできません。でも、せっかくバレーボールを見たいと思って、会場に来てくれるお客さんに、シンプルに競技を楽しんでもらえるような環境作りは絶対に必要なんじゃないかと思います」
昨年度、野瀬がSNSを使って来場者の意見を拾い出した中で、最も気になったのがクレームだったと話す。
「チケットが高い席を買ったのに、審判で陰になって見えなかった」
「アリーナに段差がなくてコートが見えない」
「トイレの数ってどれくらいあるんだろう?」
「当日券の発売場所がわかりづらかった」
クレームの内容は多岐に渡ったが、「確かに、自分がそんな目に遭ったら嫌だなと思った」と逐一、チームの運営担当に報告した。
「その中には、リーグ期間中に解決できた案件もありました。そしてVC長野さんも、リーグ期間中にホームゲームの客席を一段、高くしたという話も聞きます。クレームに近い、マイナスな意見って、それを見て『じゃあ、行こう』という気持ちにはならないじゃないですか。そういった声をまずなくしていこうというのが、僕らの姿勢です。来てくれた人が不自由なく、マイナスなイメージを持たずに帰ってくれることを最優先にしたいと思っています」
ビジネス化と言っても構造が大きく変わるわけではないVリーグでは、すぐに目に見える成果は期待できない。しかし、徐々に選手に芽生え始めた「見せる意識」を大切に育むことも、今後のリーグ発展において欠かせない視点ではないか。
V.LEAGUE男子大会ディビジョン1(1部リーグ)は先週10月26日に開幕した。今シーズンは各チームの戦いぶりと同様に、選手の発信する「バレーボールの魅力」にも注目してほしい。