ハマ街ダイアリーBACK NUMBER
苦しみながらも歩む“エース道”。
今永昇太「100%がどれだけ続くか」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byKYODO
posted2019/10/13 19:00
2位で臨んだCSファーストステージでDeNAは今永をリリーフ起用したが、阪神に敗れファイナルステージ進出はならず。
実験的にパワーカーブを採り入れる。
そしてストレートを軸にした変化球の活用。今季の今永は、スプリット気味に落ちるチェンジアップや質の異なるスライダー、また実験的にだがパワーカーブを採り入れるなど、選択肢を増やしていった。
「確かにピッチングの幅は広がりましたし、真っすぐの軌道から落ちたり曲がったりする変化球はかなり有効だったと思います。緩急を使う場合はゆるいカーブが効果的でしたね」
三振の山を築いていた前半戦、今永は「光さんのミットのなかに入っていく感覚」と好調の要因を独特の表現で語っていたが、そのことを伊藤に尋ねてみるとニヤリと笑った。
「いや、僕はそういう風に思ったことはないですよ。ただ、そう感覚的に捉えてくれるということは投げやすいということなのかなと。これからもしっかりと構えていきたいですね」
腕が横振り気味になっていたことを指摘。
ピッチングの幅が確実に広がったことは、バッテリーを組んで4年目、駒澤大学の先輩であり同期入団の戸柱恭孝も感じていた。
「もともと真っすぐのいいピッチャーですし、年々相手の対策が進むなか球種も増えてきている。本人もどこでどう使えばいいか把握していて、昨年よりレベルアップしていることは間違いないですよ。コンディションによって使う球種は変わってくるのですが、キャッチャーとしてはそこをいかに見抜いてリードするか気を使いましたね」
シーズン終盤は、伊藤の負傷離脱を契機に戸柱がマスクをかぶりつづけていたが、調子がいまいちの今永に対し腕が横振り気味になっていたことを指摘し復調させている。
「何気なくボソッと言ったことなんですが、本人も思うところがあったんでしょうね。彼も人間なんで、僕としても細かいところまでしっかり見て行けたらなと。本人は自分中心で先発陣がまわっていることを自覚していたと思うし、調子が悪いながらゲームを作らなくてはいけないというプレッシャーはあったと思います。
またキャッチャーとしても要求通りに流れを作ってくれる確信はあるものの、あれだけいいピッチャーですし、まわりから抑えて当たり前だと思われているので受けるほうとしてもプレッシャーが掛かりましたね」