沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
凱旋門賞のド本命はエネイブル。
日本馬にもチャンスはあるが……。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byAFLO
posted2019/10/05 20:00
5歳になってもエネイブルの強さはまったく衰えていない。2019年は3戦全勝、この怪物にスキはあるのか。
史上初の3連覇の可能性は高い。
'13年にはオルフェーヴルとキズナ、'14年には前述した日本馬3頭を子供扱いした女傑トレヴでさえ、'15年は3連覇を達成できず4着に終わった。
どちらも歴史的名牝であることは間違いないが、勝ちっぷりの強烈さでは、エネイブルのほうが上だ。
それに、トレヴは凱旋門賞初制覇のとき2番人気、連覇をしたときは前哨戦で敗れていたこともあって7番人気だった。3連覇を逃したときこそ1番人気だったが、エネイブルのように、ずっと1番人気('17年英オークスから10戦連続、GIは9戦連続)の重圧を背負い、マークされながら勝っていたわけではない。
エネイブルは、牝牡の別を超越した名馬である。凱旋門賞98回目の歴史で初めてとなる3連覇を果たす可能性はかなり高いと思われる。
アーモンドアイの不在を歓迎するコメント。
エネイブルを管理するゴスデン調教師は、ライバルとして、斤量の軽い3歳勢を挙げている。
パリ大賞と英インターナショナルステークスを制したジャパン、仏ダービー馬ソットサスだ。
他にもバーデン大賞を14馬身差で圧勝したガイヤース、そして、キセキが3着となった前哨戦のフォワ賞を勝ったヴァルトガイストや、さらにエネイブルと同じ英国ニューマーケットで調整しているブラストワンピースとフィエールマンの名を挙げた。アーモンドアイがいないことを歓迎するコメントを付け加えて。
ともにノーザンファームの生産馬であるブラストワンピースとフィエールマンは、いつも放牧先となっているノーザンファーム天栄で輸出検疫を行った。
そして、これまで日本馬がベースにしてきた仏国シャンティイではなく、ウォーレンヒルなどの丘があり、坂路調教のできるニューマーケットで調整し、レース前日、飛行機で仏国入りする。