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凱旋門賞、日本勢大敗のショック。
タフな馬場の攻略法は見つかるのか。
posted2019/10/07 11:50
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kyodo News
この厳しさが「世界最高峰」と言われる所以なのか。歴史的名牝による3連覇も、日本競馬界の悲願も、ともに果たされることはなかった。
第98回凱旋門賞(10月6日、仏パリロンシャン芝2400m、3歳以上GI)が12頭立てで行われ、ピエールシャルル・ブドーが騎乗するヴァルトガイスト(牡5歳、父ガリレオ、仏アンドレ・ファーブル厩舎)が優勝。史上初の凱旋門賞3連覇を狙ったエネイブルは2着となり、3頭が出走した日本馬は、キセキの7着が最高着順だった。
前日から断続的に雨が降り、パリロンシャン競馬場の芝コースは「重」となっていた。第4レースの凱旋門賞に先立ち、芝1600mで行われた第2レースの2歳GIジャンリュックラガルデール賞の勝ちタイムは1分44秒15も要した。
ちなみに、同日、200m長い東京芝1800m(良)で行われた毎日王冠の勝ちタイムは1分44秒4。パリロンシャン競馬場の芝が、いかに力のいる、タフな状態だったかがよくわかる。
位置取りはけっして悪くなかった。
クリストフ・ルメールのフィエールマンが押し出されるように内から先行し、差のないところに川田将雅のブラストワンピース、クリストフ・スミヨンのキセキは中団からやや後ろにつけた。
エネイブルは、序盤、フィエールマンと内外離れて並走するような形になり、やがてフィエールマンの2、3馬身後ろにおさまった。ヴァルトガイストは、外のブラストワンピースと内のキセキに挟まれるような位置に落ちついた。
勝ち負けする有力馬のそばにいたのだから、日本馬の位置取りは、けっして悪くなかったと言える。
しかし、直線手前の“フォルスストレート”(偽りの直線)のあたりで、フィエールマンとブラストワンピースの手応えは早くも怪しくなっていた。キセキはいくらか余力があるように見えたが、もともと切れる脚はないし、直線に入ると、じわじわと置かれはじめた。