プロ野球亭日乗BACK NUMBER
DeNA対阪神、今季は8勝16敗1分。
CSのカギを握るのは“1番戦争”。
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byKyodo News
posted2019/10/04 11:00
今季、セ・リーグ新人記録の159本の安打を放った近本。矢野監督はCSのキーマンに挙げる。
長嶋茂雄さん越えの159安打。
データ的には阪神優位の数字が並ぶが、下位チームにとっては引き分けが負けと同じ意味を持つケースがあるCSのシステムでは、1にも2にも点が取れるかが最初の命題になる。チーム得点リーグ最下位と打てなかった阪神。そういう意味ではまさに今季の阪神の課題が、この3つの試合に集約されることになるわけだ。
そこで指揮官が指名したのが今季、あの長嶋茂雄さん(現巨人軍終身名誉監督)越えの159安打を放ってリーグ記録を塗り替えたルーキーだった。
対DeNA戦の打率は2割7分5厘、3本塁打でOPS.794。しかし舞台となる横浜スタジアムでは打率3割9分6厘の2本塁打で、OPSは実に1.119と数字が跳ね上がるのも心強いところだ。
しかも36盗塁で2001年の赤星以来の2リーグ分立後新人史上2人目の盗塁王に輝いた足も、指揮官が指摘するように相手バッテリーには脅威となる。近本が出塁すれば、一気にベンチのムードも盛り上がるし、そういうムードメーカーとしての役割にも期待した矢野監督のキーマン指名だった。
「僕もなんとかして塁に出ようとしていくので、正直、ホームランはいらない。ホームラン1本で1点入るよりも、僕が3回塁に出る方がピッチャーの消耗も大きいと思います」
練習を終えた近本自身もこう語って、まずはチャンスメーカーとしての役割に徹することを誓った。
「まずは先発投手をいかに攻略するか」
ちょうど同じ頃、横浜スタジアムではその阪神を迎え討つDeNAの練習が終わったところだった。
「それよりまずは先発投手をいかに攻略するかでしょう。まずはそこだと思いますよ」
こう語ったのはDeNAの田代富雄チーフ打撃コーチだ。