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日本ハム広報が見届けた戦力外通告。
力強い握手、笑顔、涙する選手も。

posted2019/10/03 19:00

 
日本ハム広報が見届けた戦力外通告。力強い握手、笑顔、涙する選手も。<Number Web> photograph by Kyodo News

2014年ドラフト6位で入団した立田将太投手(後列左から2番目)。チームメートへの思いを触れた際、涙を流した。

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高山通史

高山通史Michifumi Takayama

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Kyodo News

 実力至上、契約社会で勝負を賭けてきた人間の強さ、覚悟を垣間見る。

 10月1日、ファイターズ鎌ケ谷スタジアム。午前10時前に、敷地内にある「勇翔寮」に待機していた。

 第1次の戦力外通告期間が、その日からスタートした。北海道日本ハムファイターズのオフが始まった。

 強烈なコントラストを感じる中での業務だった。寮の眼下にあるグラウンドでは来シーズンへ向け、一、二軍の選手が秋季練習の初日を迎えていた。

 参加を免除されている主力選手もいるが、9月までファームでプレーしていた選手5人は、練習を欠席していた。ユニホームを着用して来季へと再出発した皆が、暗黙の了解で、その理由は悟っている。仲間数人が去る、別れの日だということを認識している。

 5人はスーツに身を包み、寮内にいた。ロビーで談笑していたが、順番に1人ずつ、2階の一室へと姿を消していった。そのエリアと隣接している、寮の管理担当らが在室している部屋のテレビのスイッチは、そっと消されていた。ささやかではあるが、精一杯の配慮だった。

広報も当日に対象者を知る。

 この後、5人はフロント陣と向き合い、来季の構想から外れたとの通告を受ける。今年で、広報対応は3年目。長短の個人差はあるが、わずか数分程度で終えて退室する。

 その後、報道陣への取材対応になる。今回は、寮に隣接する室内練習場を使用した。グラウンドへと目を向けているファンの方々が多い。少しだけ人目に触れる瞬間があり、いつもとは違う雰囲気を察し、戦力外通告の日であることを気付いているファンの方々もいた。1人、また1人と取材場所へと誘導していくのが、この日の広報の主な役割となる。

 数分前に、無情の通告を受け、まだ完全には戦力外となることを受け入れられていない精神状態だろう。広報とはいえ同じ、チームの一員である。広報も当日、その通告を受ける対象者を知る。

 いろいろな感情を制御しながら、業務を遂行していく。「お世話になりました」などと挨拶をされ、握手を交わす。掛ける言葉は、簡単には見つからない。「こちらもお世話になりました」程度は返し、次なるステップへの激励をする。心は痛いが、通告を受けた選手たちは、それ以上だろう。これまで経験、体感したことがない独特の空気に、年甲斐もなく、少し動揺はする。

【次ページ】 挨拶回り、サバサバと状況報告。

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