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DeNA対阪神、今季は8勝16敗1分。
CSのカギを握るのは“1番戦争”。
posted2019/10/04 11:00
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Kyodo News
「でも近本やと思うけどね、オレは」
クライマックスシリーズ(CS)を3日後に控えた10月2日の甲子園球場。全体練習を終えた阪神・矢野燿大監督の囲み取材だった。故障でCS出場が危ぶまれるジェフリー・マルテ内野手に代わる4番候補として、報道陣から大山悠輔内野手の話が振られたときだ。
「1回4番を離れて、また4番を打つ気分も悠輔の中で違ったものもあったと思うし、悠輔に勝負どころで打ってもらうことが、うちのチームとしては必要なことやから」
こう大山への期待を口にした指揮官だったが、すぐさま語り出したのが冒頭のキーマン・近本光司外野手への言葉だった。
敵地・横浜スタジアムでも8勝4敗。
「勝ってるときも、近本が何かいい働きをしてくれているというか。やっぱりランナーで出ると、凄く向こうも嫌がる。4番1人にただ向かうだけなら、そんなに嫌じゃない。バッテリーって。それにプラスアルファがどんどん増えてくるから。走るんちゃうかな、とか。そういう中で、悠輔なら悠輔を迎えるのが、うちの理想形と思う。悠輔1人で向かうのと、チカ(近本)がいるのとでは圧倒的な差があるから、そういう意味ではチカやと思うよ」
最終戦で6連勝を決めて広島をかわして3位に浮上。土壇場で手にした2年ぶりのCSのキーマンに、矢野監督はこう近本を指名したのである。
今年のCSファーストステージは、順位的には2位のDeNAに対して最終戦で3位を確保した阪神という構図だ。ところがご存知のように両チームの今季の対戦成績を見れば立場は逆転する。
16勝8敗1分。
これが阪神から見た今季の対戦成績で、圧倒的に阪神が優位に立っている。決戦の舞台となる敵地・横浜スタジアムでも8勝4敗とダブルスコアの勝ち越しだ。