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日本ハム広報が見届けた戦力外通告。
力強い握手、笑顔、涙する選手も。 

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高山通史

高山通史Michifumi Takayama

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photograph byKyodo News

posted2019/10/03 19:00

日本ハム広報が見届けた戦力外通告。力強い握手、笑顔、涙する選手も。<Number Web> photograph by Kyodo News

2014年ドラフト6位で入団した立田将太投手(後列左から2番目)。チームメートへの思いを触れた際、涙を流した。

挨拶回り、サバサバと状況報告。

 選手たちは、そこからおもむろに、人生の再スタートへと動き出す。

 マネジャーやスタッフら、関係者へと挨拶回り。感謝の思いを伝え、激励の言葉を贈ってもらいながら、一回りする。その後は練習を終えて球場から寮へと戻ってくるチームメートたちにも、その旨を伝える。感傷的になってしまうこちらとは違い、意外にもサバサバと状況報告を行う。

 愛されキャラの田中豊樹投手には、ルーキーの後輩右腕が背後から抱きついているシーンも目にした。湿っぽくならないように、あえて明るく努めて、送り出しているのかもしれない。そう思った。

勝ちも負けも知るからこそ。

 一連の所作に、プロ野球選手としての強いメンタル、覚悟がにじんでいる。

 スーツの上着を脱ぎ、腕まくりをして、ロッカールームへと向かった。野球用具も含めた、荷物整理である。折れた心を、すぐに修復して、ケジメをつけているのである。バット、グローブ、トレーニングウエアなどを次々に運び出す。仲間たちと挨拶をし、今後の身の振り方の方向性などをストレートに聞かれ、気丈に答えている。そんなシーンを目にすると、心残りはあるであろうが、既に前を見つめているのだと思う。

 プロまで上り詰めてきた選手たち。野球人生の局面、局面では「勝者」となった場面が多かったはずである。ただ反面、「敗者」となったこともある。

 だから、このような現実に直面しても、取り乱すことなく、振る舞うことができるのだろう。

【次ページ】 入団5年目、23歳が流した涙。

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