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ミランの新エース、ピオンテクは
“背番号9の呪い”を解けるのか。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byUniphoto Press
posted2019/09/20 11:40
9月15日の3節ベローナ戦でPKを決めて今季初ゴールを挙げたピオンテク。得意の「ガンマンポーズ」を見せた。
“ピストレーロ(ガンマン)”の異名をとる。
“ピストレーロ(ガンマン)”の異名をとるピオンテクのリボルバーが火を吹いたのは3カ月以上も前の6月10日、代表でのイスラエル戦が最後だ。
バカンス明けのキャンプイン後、6試合あったプレシーズンマッチでもまったくの音無しに終わり、開幕7日前に組まれた格下チェゼーナとの最終テストマッチもスコアレスドローに終わると、現地メディアがゴール欠乏症の“呪い”と騒ぎ始めた。
今夏の移籍市場ではポジションのかぶるパトリック・クトローネ(現ウォルバーハンプトン)とアンドレ・シウバ(現フランクフルト)が放出されたことで、ピオンテクはクラブ側からの期待と信任を感じていた。
スランプの原因は戦術とのミスマッチ?
今年1月、19ゴールを引っさげてジェノアから移籍してきたとき、ピオンテクは背番号9を望んだ。だが、当時のテクニカルディレクター、レオナルドは「ミランの9番は与えられるものではなく勝ち取るものだ」と諭し、19番を選ばせたという逸話がある。
コッパ・イタリアを含む後半戦で11ゴールをあげたピオンテクは、その活躍が認められ今季晴れて9番を手にした。その途端の不振なのだから、呪いの真実味が増したのも無理はない。
スランプの原因は、新監督ジャンパオロが標榜する戦術とのミスマッチと見られている。彼は昨季率いたサンプドリアで36歳のベテランFWファビオ・クアリアレッラに得点王を獲らせたが、そのバックボーンには一貫してこだわる4-3-1-2と、ボールをもって仕掛けるサッカー理念がある。
中盤から前の選手たちが近接し、ポジションを交錯しながら相手の守備網を攻略。クアリアレッラのようなフィニッシャー役にゴールを仕留めさせるスタイルだ。だが、ピオンテクが好むのはどちらかといえば、エリア内に広大なスペースを望める1トップ起用だ。