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ミランの新エース、ピオンテクは
“背番号9の呪い”を解けるのか。
posted2019/09/20 11:40
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Uniphoto Press
21世紀ももう20年になろうというのに、サッカーの世界には“呪い”というオカルトチックなものが跋扈している。
“背番号9の呪い”にかかったのは、ミランのエースFWクシュストフ・ピオンテクだ。
昨季、リーグ戦とコッパ・イタリアを合わせて年間30ゴールをあげ、今季からミラン伝統の背番号9をつける彼は、セリエAの開幕から2試合無得点。ポーランド代表として臨んだ9月のEURO2020予選でもノーゴールに終わった。
呪いとは偉大なOBフィリッポ・インザーギが2012年に引退以降、ミランの背番号9をつけたFWたちがことごとく陥るスランプを指す。
呪いは確かに彼とミランを苦しめている。
「FWにとって9番は大事な数字だよ。レバンドフスキ、スアレス、ベンゼマ……世界中のトップストライカーが皆つけてる。だから今季から9番を背負えて最高に嬉しい。呪い? そんなもの信じてないし、ビビっちゃいないさ」
ピオンテクは気丈に言うけれど、呪いは確かに彼とミランを苦しめている。
まさかの黒星発進となったウディネーゼとのセリエA開幕戦で、新エースは1本のシュートも枠内に飛ばすことができなかった。
『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙からは滅多にない最低評点「4」で戦犯扱いされ、新指揮官マルコ・ジャンパオロは「ピオンテクは(2トップではなく前線で)独りの方がいいプレーができるのかもしれない」と顔色を変えた。
続く2節ブレシア戦では先発落ちの憂き目に。試合はMFハカン・チャルハノールが前半12分にあげた虎の子の1点を守りきり何とか連敗は免れたが、チームは前後の連係が未だバラバラで、新戦力の順応不足も相まって不安は募る。