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脇坂泰斗は「とにかく、やりやすい」
川崎で評判高い、心配りと泥臭さ。 

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いしかわごう

いしかわごうGo Ishikawa

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photograph byJ.LEAGUE

posted2019/09/14 08:30

脇坂泰斗は「とにかく、やりやすい」川崎で評判高い、心配りと泥臭さ。<Number Web> photograph by J.LEAGUE

ルヴァンカップ準々決勝、名古屋との連戦にスタメン出場した脇坂泰斗(中央)。プロ2年目の今季は厚い選手層の中、出場機会を増やしている。

受け手に届く、脇坂の心配り。

 相手をうまくサイドに引きつけたことで、中央でフリーになっている下田の姿を脇坂は見逃さなかった。さらに心憎いまでに丁寧なボールを足元に届けている。この心配りこそが、脇坂の魅力だ。

 シュートの体勢に入る時間を生み出す計算されたメッセージは、受け手にも伝わっていた。

「間に守田(英正)がいたと思うんですけど、そこを一個飛ばしてくれたことによって、自分が打ちやすい状況をつくってくれましたね。そこはすごく良かったです」(下田)

 こうして下田の一撃が鮮やかな軌道を描き、直後の歓喜を呼び込んだのである。

 この準々決勝第1戦ではカウンターから自ら追加点を決め、第2戦でも1アシストと躍動。試合後は、爽やかな笑顔で今後を見据えた。

「連戦という中で2試合ともスタメンで出て、自分のできることが明確になりましたし、もっともっとやらなくてはいけないものも出ました。これからのトレーニングでそこをしっかりとやって、そして勝ち進んだことをプラスに捉えて頑張りたいと思います」(脇坂)

板倉と三好の先輩。苦しんだ1年目。

 川崎の下部組織出身で、今年、日本代表デビューを果たした板倉滉や三好康児の1学年先輩にあたる。高卒でのトップチーム昇格は果たせなかったが、阪南大学に進学し、2018年にフロンターレに入団した。

 ただプロ1年目の昨シーズンは出場機会に恵まれずに苦しんだ。

 リーグ戦の出場はゼロ。ACLの蔚山現代戦で途中交代でプロデビューを果たし、唯一のスタメン出場も、天皇杯2回戦・ソニー仙台戦のみである。

 だがこの初スタメンでは、自身のパスミスがきっかけで失点につながり、チームも2失点。思わぬビハインドを負う展開になったことで鬼木達監督も動かざるを得ず、前半途中で交代となった。試合は逆転勝ちしたものの、脇坂にとってプロ初スタメンは、わずか38分で終わる苦い経験となっている。この試合後は自分への悔しさから涙も見せていたと聞くが、ミックスゾーンでは前向きな言葉を口にしていた。

「1失点目のシーンは僕のパスミスから始まっている。中を閉められていても、中から行けるのがウチだと思っていますし、そこも自分が通せるようにしないといけない。チームが勝てたことは嬉しいですけど、個人としては悔しい気持ちもあります。それを次に生かさないと意味がないと思っています」

【次ページ】 代表まで駆け上がる同期の存在。

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