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浦和レッズは“硬派”をやめたのか。
「観客1万人減」からの新たな挑戦。
posted2019/09/13 11:40
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph by
URAWA REDS
Jリーグで一番熱狂的なクラブといえば?
そんな質問を受けたら、多くの人が浦和レッズの名前を挙げるだろう。
ホームスタジアムの埼玉スタジアム2002に響くサポーターの大歓声と、鮮やかなコレオグラフィー。クラブが打ち出す「REDS WONDERLAND」という表現がピッタリである。
しかしその熱さは一方で、はじめてスタジアムに行く人や、もしかすると他クラブのサポーターにも“敷居の高さ”を感じさせているのではないか。
実際、「Jリーグ スタジアム観戦者調査2018」によると、2018シーズンから新たにレッズの試合を観始めたという新規層の割合は「1.3%」。これはJ1で最下位なのだという。
もちろんこの数字は根強い固定ファン・サポーターが多いという、何よりの証拠だ。ただし、新規開拓に難しさがあるのは間違いない。
レッズは変わろうとしている?
そんな事実がある中で、3月30日のFC東京戦の告知を見て、ビックリした。
「『翔んで埼玉シート』登場!」
「埼玉への徹底的なディスりが強烈なインパクトを放つ、今話題の衝撃的コミック『翔んで埼玉』に登場する名言のひとつ、『埼玉県人にはそこらへんの草でも食わせておけ!』という壇ノ浦百美のセリフにちなんだ『翔んで埼玉シート』だけの限定特典が付く企画シートです」(クラブ公式サイトより)
どうしちゃったレッズ、こんな企画やるクラブだったっけか。
それが、最初に見たときの正直な印象だ。
しかし今シーズンのホームゲームを見ていると、レッズは柔らかな企画を続々と仕掛けている。例えば5月3日の磐田戦では『Go Go Reds!デー』として小中高の学生の入場料を一律550円にし、埼スタの入り口にあたる南広場で大々的に集客イベントをやっていた。
ちなみに昨シーズンはファン感謝祭にあたる「レッズフェスタ」で、宇賀神友弥や橋岡大樹、荻原拓也ら下部組織出身メンバーが告知ポスターに出演したのだが、そのレイアウトがアイドル雑誌よろしく笑顔で映っていた。
レッズは変わろうとしている?
徐々に膨らんできたそんな思い。本当かどうかを確認するには“レッズの中の人”に聞くしかない。そう思い連絡すると、広報の星野高明さんが応対してくれた。