“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
ベンチ外、J3も経験した田中亜土夢。
劇的ミドルの裏にあった葛藤と自信。
posted2019/09/17 19:00
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
今季リーグ戦で1度もスタメン出場していない男が、意地の一撃を見せた。
J1第26節、セレッソ大阪がアウェーに乗り込んだ浦和レッズ戦。31歳のベテラン・田中亜土夢は、71分に柿谷曜一朗と交代すると、目の覚めるようなミドルシュートをゴールに突き刺した。これでチームはリーグ4連勝を飾った。
「(自分は)左サイドハーフをずっとやってきましたが、同じポジションのキヨ(清武弘嗣)が怪我で離脱した時、その代わりに出たのがこれまでFWで出場していた曜一朗でした。本当に悔しかった」
C大阪は開幕以降、3-6-1の布陣を敷いていたが、第10節の松本山雅戦以降は4-2-3-1にシフトチェンジ。この時から左サイドハーフは清武が任されていた。しかし、第24節のジュビロ磐田戦の後に、その清武が負傷すると、前節(第25節)の川崎フロンターレ戦ではFW柿谷が左サイドハーフとしてスタメン出場。浦和戦でも同じポジションでスタメン出場を果たしていた。
チーム内の序列を突きつけられたが、田中はここでじっくりと自分と向き合った。
「出番がきたら絶対に結果を出す」
「悔しかったけど、よく考えたら僕は天皇杯、ルヴァンカップで結果を残せていなかった。だからこそ、ロティーナ監督は僕じゃない選択をしたと思う。一方、曜一朗はルヴァンカップや天皇杯でゴールやアシストをしていたから、当然優先順位も変わってくる。僕も目に見える結果が必要だと改めて思った」
川崎戦では76分に柿谷に代わって5試合ぶりに投入されると、シュート3本を放つなど積極的な姿勢を見せた。そして、迎えた浦和戦。
「先発に近づくには結果を出すしかない。それに今はACL出場権を掴むために勝ち点を積み重ねないといけないとき。だからこそ、出番がきたら絶対に結果を出す。これしかないと思っていた」