ぶら野球BACK NUMBER
坂本勇人が見せてくれた理想の巨人。
一流から超一流、そしてスペシャル。
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph byNanae Suzuki
posted2019/09/14 09:00
坂本勇人が、2000本どころか3000本安打の可能性すらある球史に残る選手であることはもっともっと知られていい。
坂本と丸がいるからこそ周囲も光る。
さて、令和元年のジャイアンツは、そんなサカマルの最強30歳コンビで幕を開けたわけだが、今季の原巨人はチームのベースを担う坂本、丸、岡本に大きなアクシデントなく、なんだかんだここまでの全試合に出場できたのは大きかった。
ベースがしっかりしていたら、その上で戦いながら若手や助っ人も試せるし、亀井善行や阿部のようなベテランも無理させず休ませながら起用できる。
まるで、第2次原政権で小笠原道大やアレックス・ラミレスの“オガラミコンビ”がチームの土台となり、坂本や育成出身の松本哲也がデビューしたようにだ。
巨人ファンがずっと見たかったチーム。
あれから長い時間が経ったのだ。そして、これこそプロ野球を見続ける愉しさと喜びでもある。
やっている選手も見ているファンも決して順風満帆だったわけじゃない。坂本も2013年からしばらくは一流と超一流の狭間で苦しんでいた。正直、観客席から見ていても歯痒さがあったのは事実だ。
それが、'15年に26歳で主将就任した後はファンサービスも丁寧になったりとグラウンド内外で変化もあり、'16年には自身初の首位打者とゴールデン・グラブ賞を獲得。だが、皮肉なことに世代交代真っ只中の近年のチームは低迷した。
そんな紆余曲折があり、辿り着いた'19年シーズン。ついに優勝マジック7と秒読み段階に。
これまで原監督で何度も優勝争いをしているが、そのどれとも印象が違う。メンバーが一気に代わったというのもあるが、なにより坂本がキャプテンとなり年下のV経験のない若い選手たちを引っ張るという画が新鮮だ。巨人ファンとしては、ずっとこういうチームを見たかった。