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浦和・興梠慎三が8年連続二桁得点。
佐藤寿人が語る2人の意外な共通点。
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byGetty Images
posted2019/09/04 11:30
湘南戦では開始早々ゴールを決め、あっさりと記録を塗り替えた興梠慎三。佐藤寿人ら“同業者”からの評価も高い。
寿人も絶賛するワンタッチゴール。
ワンタッチでネットを揺らすパターンには磨きをかけ続けている。シーズン連続得点記録を更新した湘南戦のゴールも得意の形だった。その手の職人である佐藤は舌を巻く。
「駆け引きがうまい。それができているから、あれだけのワンタッチゴールが生まれるんだと思います」
興梠は点を取って報道陣に囲まれるたびに、口にすることがある。
「パスを出してくれたチームメイトのおかげ。俺はひとりで点を取れない。周囲に生かしてもらうタイプだから」
ただの謙遜ではない。むしろ、パスを引き出す術に長けているのだ。同じような手法でゴールを重ねてきた佐藤には、分かるのだろう。
「慎三は相性のいい味方をつくるのがうまいと思う。僕と同じかな。見ていると、(柏木)陽介しかり、武藤(雄樹)らとの関係性がいい。周りを生かしながら自分も生きている。特徴を知ってもらい、味方の特徴を理解している。頭のいい選手だと思います」
忘れない先人への敬意。
今年33歳を迎えて、シュート技術も円熟味が増してきた。ゴール前での落ち着きは目を見張る。
「ペナ(ペナルティーエリア)の中では遊び心が必要。余裕がないと点は決められない。FWはペナ中でいかに仕事をするか」
7月6日のベガルタ仙台戦で決めた、日本代表GKシュミット・ダニエル(現シント・トロイデン/ベルギー)の頭上を抜くループシュートは圧巻だった。この記憶に残るゴールで、「ミスターレッズ」こと福田正博さんの数字も塗り替えた。浦和だけでJ1通算92点目とし、クラブのJ1最多得点記録を更新。名実ともにレッズ史に残るエースとなっているが、本人は先人への敬意を忘れない。
「(浦和の)サポーターからすれば、福田さんは頂点の存在。10点、20点、30点くらいは得点差をつけないと。浦和レッズといえば、興梠慎三と言ってもらえるようにしたい」