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こじれたままのネイマール移籍問題。
バルサ、レアル、PSGの誰が得する?
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byUniphoto Press
posted2019/08/30 11:40
トラブルメーカーのイメージがついて回るネイマール。本人の希望と言われるバルサ復帰は本当に実現するのか。
メッシが帰還を望んでいるから……。
だが再考する。コウチーニョはチームを離れ、デンベレはいつまで経ってもプロ意識を欠いたまま。グリーズマンは獲ったが、自身の任期が終わる2021年までにもう一度CLを制覇するために保険をかけておくのも悪くない。
何よりもメッシが、ネイマールの帰還を望んでいるのだ。
ただし、大金は持ち合わせてはいない。
そこでパリSGに選手数人+移籍金との交換を打診したが、要求額は2年前にバルサに支払った額と同じ約260億円。それならばとパリへ赴き、買い取り義務付きの2シーズンのレンタル移籍を正式にオファーしたが、パリSGの返答は「No」だった。
しかし、パリSGも首を横に振ってばかりはいられなかった。移籍希望を態度と行動で表すネイマールをチームに残したところで、喜ぶ者は誰もいない。どこかで妥協して厄介払いした方が、クラブにとってもチームにとっても結局は好都合である。
宿敵レアル登場に焦ったバルサ。
そこに、R・マドリーが登場する。
6年前、メディカルチェック済みのネイマールをバルサに横取りされてからというもの、ペレス会長は彼に白いユニホームを着せることばかり夢見てきた。現状バルサより資金に余裕があるので、もともと不仲のバルサとパリSGの交渉が決裂したところで、一気に片をつけられると踏んでいたのかもしれない。
ジダンが欲しているのはあくまでポグバだが、千載一遇のチャンスを見逃す手はない。
宿敵の登場で尻に火がついたバルサは、ネイマールに希望を公言するように求めた。「バルサへ行きたい」という彼自身の言葉はR・マドリーに対する牽制となり、パリSGとの交渉においては追い風となる。
果たして8月26日、ネイマールはパリSGのスポーツディレクターであるレオナルドの前で「バルサにしか行きたくない」と言い切ったという。
そして翌27日、バルサは役員数人からなる一団を再びパリへ送り込み、再度直接交渉を行なった。その結果、両者はかなり歩み寄り、「合意は近い」との感想を持ってバルササイドは帰国している。