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香川真司はスペインを楽しんでいる。
サラゴサを「自分のチームにする」。
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byGetty Images
posted2019/08/22 20:00
大きなジェスチャーで指示を送るシーンが印象的だった香川真司。ぶっつけ本番ながら開幕戦で勝利に貢献した。
英語が伝わらなくても、話しかける。
試合中に目を引いたのは、香川が身振り手振りで指示を送る姿だ。
ドイツには英語も含めて外国人選手とどうにかコミュニケーションを取ろうとする選手が多いが、スペインでは英語を話す選手の数自体が少ない。香川とて、いきなりスペイン語を話せるはずもない。
それでも少しも躊躇することなく、プレーが切れるたびにチームメイトにジェスチャーを交えて英語で話しかけていた。細かいニュアンスが伝わるとは思っていない。それでも、何%かだけでも伝えたいという思いが香川にはあった。
「サラゴサを昇格させないといけない思いが非常に強いので。チームの結果と個人の結果をどうつなげていくかは難しい作業ですけど、それをやらないと上には行けない。自分だけでは、たぶん成り立たない。チームの力が必要になるので、上手く導いていけるように、ピッチ以外のことも含めてスペイン語は必要になってくる。想像以上に英語を話せない選手が多いので。新しいことにトライしないといけないけど、それも楽しいですね」
リスクと責任を負って攻める。
入団会見では、(推定)年俸を大きくさげてまでスペインの2部へやってきたことを不思議に思う現地の記者から質問を受けた。給料こそが自分への評価を測るものとされるヨーロッパの価値観からすれば、香川の決断は理解しがたかったのだろう。しかしそれは、自分の夢と成長のためである。
何年にもわたって香川は、攻撃の選手はリスクと責任を負うものなのだとずっと語ってきた。
期待は責任となって両肩にのしかかる。でも言い訳できないその状況にワクワクするし、自分のプレーを磨いてくれると感じている。