ビッグマッチ・インサイドBACK NUMBER
グリーズマン、アザール、新星。
リーガの顔となるエース候補たち。
posted2019/08/15 11:30
text by
寺沢薫Kaoru Terasawa
photograph by
Getty Images
今年の夏は、ビッグディールが続々決定のスペインが熱い。
ここ数年、ヨーロッパサッカーの移籍マーケットといえば、潤沢な放映権料を背景に札束攻勢を仕掛けるイングランド・プレミアリーグのクラブが中心だった。その財政的優位性を反映したかのように、昨季はチャンピオンズリーグ(トッテナム対リバプール)、ヨーロッパリーグ(チェルシー対アーセナル)と欧州カップ戦の決勝は4チームすべてがイングランド勢で占められた。
その反動と言うべきなのだろうか、今年の夏はイングランド勢が比較的おとなしかった一方で、スペインのクラブが“反応”を見せている。復権のためには、投資を惜しむべからず。そんな気概が、移籍マーケットでのバルセロナ、レアル・マドリー、アトレティコ・マドリーといったクラブの立ち回りに見て取れるのだ。
2人の大物を獲得した王者バルセロナ。
まずは、スペインの絶対王者、バルセロナ。昨季、リーガでは盤石の強さを見せて優勝したバルサだったが、CLでは準決勝でリバプールに歴史的逆転負けを喫し、欧州制覇の夢を断たれている。だから彼らは、“国内1強”とも言われる今の状況にあぐらをかくことなく、この夏、フレンキー・デヨングとアントワン・グリーズマンという2人の大物を獲得した。
アヤックスで昨季CLベスト4進出の立役者となったプレーメーカーのデヨングには、出来高ボーナス含め最大8600万ユーロを投じた。国内のライバルであるアトレティコから引き抜いたグリーズマンに支払った額は、それをさらに超える1億2000万ユーロ。加えてベティスからU-21スペイン代表の左サイドバック、ジュニオルも2500万ユーロで獲得し、戦力の上積みに余念がない。
その上、パリ・サンジェルマンからネイマールの買い戻しを狙っているとの噂ももっぱらで、9月2日の移籍期限までその動向から目が離せない。