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聖光学院が戦後最長13年連続甲子園。
「弱いチームが弱さを認めて勝った」

posted2019/08/01 11:40

 
聖光学院が戦後最長13年連続甲子園。「弱いチームが弱さを認めて勝った」<Number Web> photograph by Genki Taguchi

13年連続甲子園出場を決め、宙を舞った聖光学院・斎藤監督。

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田口元義

田口元義Genki Taguchi

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Genki Taguchi

 壁は高く、そして強かった。

 7月28日。令和元年の夏、聖光学院が日大東北を2-0で退け、福島県の頂点に立った。戦後最長記録を更新する13年連続甲子園出場。今年もまた、多くの者が辟易するように嘆息を漏らす「また聖光か」を、彼らは実現させたわけである。

 当然のことながら、当事者たちに「また」といった認識は皆無だ。毎年、監督の斎藤智也はじめ聖光学院の指導者たちは、「3年生のほとんどが初めての甲子園。生徒たちに連覇はない」と肝に銘じ、チーム作りをしている。

 ただ、今年に関しては、これまでとは異なる感覚が指揮官に去来していた。閉会式後の囲み取材。斎藤は表情こそ穏やかだったが、笑顔はなかった。喜びより、どちらかと言えば優勝の感触をまだ確かめているような、そんな顔だった。

「例年より実感が湧かないかな。優勝できる大会だと思っていなかったからね。春以降は潔いチーム作りをしようと思って選手たちを導いてやってきたけど、勝つチーム作りをしてきたわけではなかったから」

「相手をバカにする空気がなくなった」

 この夏、斎藤は試合の度に「謙虚」という言葉を繰り返していた。初戦から「相手をバカにする空気、嘗めているような雰囲気がなくなってきた」と、チームの仕上がりの良さを語り、優勝後も「野球観が変わった」と選手たちを称えていた。

 その斎藤に改めて問うた。今年の聖光学院の「謙虚さ」とは何だったのか?

「高校野球で何を目指すのか? と言ったら、どうしてもその対象は勝利になるよね。勝ちにいくと試合での打席でボールを見すぎちゃったり、結局は自分との戦いになるわけだ。このチームは自信過剰になって勝ちにいって、負けてきたチームだったから。勝利はあくまで結果に過ぎない。そこにたどり着く、自分たちを導くための要因とは何か? 春まではそこに気づいていなかったけど、夏は生徒らが自分自身に捕らわれず戦ってくれた。それがこの結果になったんだと思う」

【次ページ】 負けるべくして負けた。

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