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上田綺世の鹿島加入が示すこと。
部活が強い日本サッカー界の変化。
posted2019/07/29 18:00
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Kyodo News
コパ・アメリカに出場した日本代表でただひとり大学サッカー部に所属していた法政大学3年のFW上田綺世が、サッカー部を退部して、8月より鹿島アントラーズとプロ契約を結ぶことが7月26日発表された。
鹿島アントラーズのジュニアユースに所属していた上田だったが、ユースには昇格できず、鹿島学園高校でサッカーを続けた。プロ入りは幼い頃からの夢だったが、高校卒業時にその夢は叶わず、法政大学へ進学する。
1年時から活躍し、総理大臣杯全日本大学サッカートーナメント制覇に貢献、関東大学サッカーリーグ戦・新人賞も受賞した。U-20代表にも選ばれ、2年時の2018年には全日本大学サッカー選手権大会で優勝した。
法政大のエースとしてだけでなく、東京五輪世代の代表のエースとしても注目を集め、Jクラブも早くから獲得競争に乗り出した。各クラブの練習に参加した結果、上田は2年生の時に、2021年度に鹿島アントラーズに加入する仮契約を結ぶ。今回はそれが前倒しになったのだ。
「成長曲線をとどめることはできない」
上田は鹿島への加入会見で、その経緯を次のように語った。
「この決断をするのに半年かかりました。3年になるタイミングでサッカー部を退部することも考えたけれど、まだ法政でできることもあると思いました。そしてこの半年でやることはやり切った。大学生としてコパ・アメリカに選ばれたことがきっかけにもなりました」
無得点で終わったコパ・アメリカでの経験がプロ入りを決意させたわけではなく、ベルギーへ移籍した鈴木優磨の後釜として、鹿島側が獲得を急いだわけでもなかったという。鹿島の鈴木満強化部長は、「ここからシーズン後半、非常に重要な試合が増えチーム編成が難しい状況で、即戦力として考えられる上田選手の獲得は嬉しい」と話した。
法政大の長山監督は、このタイミングで送り出す理由をこう語った。
「ここ2年ぐらいで非常に成長している。その成長曲線をとどめることはできない。上田は日本を代表する選手になると思う。指導者として彼がより成長するための環境を整えたいと思った。大学サッカーに留まらせるわけにはいかなかった」