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メッシ、イニエスタ以上の宝石!?
ペップが惚れるマンCフォーデン。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byGetty Images
posted2019/07/29 11:30
シティの下部組織出身のフォーデン(右)。グアルディオラが手塩にかけて育てるのだろう。
「問題は先発起用できないこと」
「彼は世界一の選手のひとりになるために必要な資質のすべてを持っている。唯一の問題は、監督が彼を常に先発起用できないことにある。彼は先発してフル出場すべき選手だが、ここがどんなチームであるか、それが簡単ではないことも心得ている。決して腐ることなく、すべての練習に素晴らしい姿勢で臨んでいる。私はそんな彼に感謝しているよ」
翌日の試合では、後半15分から出場し、最初は左ウイングを任され、その後に中盤に入った。
この試合(シティが3-1で勝利)での活躍度でいえば、1得点1アシストのケビン・デブライネや、ゴールを決めたラヒーム・スターリング、ルーカス・ヌメチャに及ばない。良いときに見せる中央からの力強いドリブルや急所を突く縦パス、強烈な一撃などは、ほとんど見られなかった。
けれど、普段のポジションではないサイドでのプレーは、このティーンエイジャーのまた新しい可能性を感じさせるものでもあった。
「フィルはこのプレシーズンでまだ2回ほどしか練習をしていない」と試合後にグアルディオラ監督は語った。
「だから今日のように30分もプレーすることは考えていなかった。もちろん彼のポジションは中央だけど、ワイドでもプレーできる。1対1に強いし、ボールの受け方もうまい。相手の陣形を切り裂く能力もあるし、守備時の貢献度も高い。彼のクオリティはわかりきっている。今日の出来も良かったね」
下部組織で育った地元の超有望株。
フォーデンはマンチェスター郊外で生まれ、8歳からシティの下部組織で育った生粋のシチズンだ。
11年前にアブダビの王族がクラブを買収してからスーパークラブに生まれ変わったシティは、多くのビッグネームを獲得することで、力をつけてきた。ただ、その間にすでにプレミアリーグを4度制しているチームには、本当の意味でクラブのアイデンティティーの象徴となりうる選手はいなかった。
その存在になる可能性を秘めた地元出身の超有望株がフォーデンであり、だからこそ、グアルディオラ監督を含めたクラブ上層部が特別な期待をかけているのだ。