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現地記者「長年バルサにいるみたい」
ハンサムで強心臓の司令塔デヨング。 

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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photograph byGetty Images

posted2019/07/25 18:00

現地記者「長年バルサにいるみたい」ハンサムで強心臓の司令塔デヨング。<Number Web> photograph by Getty Images

メッシ、スアレスの決定力が圧倒的な一方で、中盤の構成力に陰りを見せるバルサ。デヨングはその状況に風穴を開けるか。

ブスケッツとの共存もあり得る。

 デヨングの主戦場は中盤の低い位置で(最終ラインでもプレー可能)、この日のチェルシー戦でもアンカー、つまり4-1-2-3の「1」を任された。ただそこは、バルセロナで長年にわたって配球役を務めるブスケッツの根城でもある。この日も前半はブスケッツが担当し、後半にデヨングと代わった(交代そのものはグリーズマンと)。

 デヨングは31歳のブスケッツの後継者と呼ばれることもあるが、中盤の重鎮が易々と定位置を明け渡すとは思えない。ならば、デヨングはリベロ的なCB、あるいはひとつ前の中盤で起用される可能性もあるか。運動量が多く、攻撃にも特徴のある彼なら、いずれにしても面白い。ブスケッツとの共存の線も消すことはできない。

 それにブスケッツはデヨングの世話役を買って出ているそうだ。

「チームメイト全員が僕を手助けしてくれているけど、一番はブスケッツ。スペイン語はもちろん、クラブや街のことをたくさん教えてくれているよ」と試合後に彼は話した。

「彼のほかにも中盤にはたくさん良い選手がいるけれど、バルセロナのようなビッグクラブでは普通のこと。ポジション争いは望むところさ」

「美しいフットボールを披露して勝つ」

 グリーズマンが加わり、ネイマールの復帰も噂される新シーズンのバルセロナ。看板となり得る前線が話題の中心になるかもしれないが、それと等しく重要なポイントは新しいエンジンルームにもある。

 欧州屈指の才能を持つ背番号21は、どのポジションを任され、誰とコンビを組むのか。そして逸材を加えたスペイン王者は、5シーズンぶりの欧州王者に返り咲くことはできるか。

「美しいフットボールを披露して、お客さんが楽しんでくれたらいいね。そして僕らはすべてのタイトルを取る。それが新シーズンの目標だよ」

 そう地元メディアに語ったチャーミングなニューヒーローから目が離せない。

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