球体とリズムBACK NUMBER
現地記者「長年バルサにいるみたい」
ハンサムで強心臓の司令塔デヨング。
posted2019/07/25 18:00
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
Getty Images
スペインとイングランドの名門の対戦とはいえ、会場の埼玉スタジアムはいつもより静かだった。
バルセロナとチェルシーの本拠地から遠く離れた日本での親善試合だから、それも当然か。そこに両チームのファンはいても、日頃から歌やチャントを共にするサポーターの集団はいないのだ。
ピッチ上の選手の声も聞こえるほどの静けさのなか、欧州のビッグクラブ同士の一戦は進んでいった。前半はチェルシーがやや優勢に立ち、34分には低い位置でセルヒオ・ブスケッツが持ったボールをジョルジーニョが小突くと、ゴール前のタミー・エイブラハムにそのまま渡り、背番号9が冷静に決めて先制する。
バルセロナの新戦力アントワン・グリーズマンは前線の中央に入り、中盤にはクラブの未来を担う生え抜きの19歳リキ・プッチも顔を並べたが、前半のスペイン王者に得点は生まれなかった。
デヨングの登場に沸き立つ埼スタ。
バルセロナはハーフタイムに11人全員を変更。再開後に交代選手がアナウンスされ始めると、背番号21が呼ばれたとき、静かな会場にひときわ大きな歓声が上がった。グリーズマンと並ぶ今季最大の新戦力、フレンキー・デヨングだ。
今年1月にバルセロナが推定7500万ユーロ(と出来高1100万ユーロ)の移籍金をアヤックスに支払って契約を結び、今季からブラウグラナの一員となった。
現在22歳の左利きのMFは、近年のアヤックスのルネサンスを実現させた中心選手のひとりで、昨季はリーグタイトルを奪還し、チャンピオンズリーグでは準決勝に進出。さらにシーズン終了後には、オランダ代表の一員としてネーションズリーグの準決勝と決勝を戦った(ポルトガルに敗れて準優勝)。