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安部裕葵をバルサへ導いた成長欲。
「挑戦する回数が人生では大事」
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byAFLO
posted2019/07/12 19:15
鹿島アントラーズからバルセロナへ。安部裕葵の大挑戦が始まろうとしている。
挑戦する回数が人生において大事。
アーセナルに加入した稲本潤一など、若くしてJリーグからトップクラブへと移籍した日本人選手の系譜がある。そこに名を連ねた安部だが、未来に約束されたものは何もない。
「満足せず、挑戦する機会があれば、僕はいつまでも挑戦するつもりです。成功や失敗の数ではなく、挑戦する回数というのが人生において大事だと僕は考えている。失敗も成功もいい思い出になると思う。
もちろん成功するつもりでがんばります。僕が活躍すれば、鹿島のためにもなる。そういう姿勢で感謝の気持ちを伝えていきたい」
欧州で活躍する日本人選手の多くが、エリートと言われるキャリアを歩んできた。そこでは、日本代表や五輪代表などでの活躍が移籍に繋がっている場合が多い。そう考えると、安部の場合は異例とも言える。
代表キャップはわずか3。Jリーグでも「これから」という選手だ。でもだからこそ、この挑戦の価値は大きい。
「憧れの選手なんていなかった。ある意味、冷めた子どもでした。小学生時代もサッカーはやっていましたけど、プロ入りについても考えたことはありませんでした。ただサッカーが好きで、負けず嫌いだったから。トレセンに選ばれたこともなかったし、Jリーグの下部組織に所属する機会もなかったですし」
以前、自身の幼少時代を安部はそんなふうに話していた。プロになり、鹿島サポーターのキラキラした瞳に感動し、プロである喜びを明かしてくれたこともある。
安部裕葵の未来は、今日の一歩、今日の練習から始まる。今までと同じように実直に歩んでほしい。