「2人をうまくサポートしたい」

　この言葉通り、大分のビルドアップは彼にボールが渡ってから破壊力ある攻撃へと切り替わる。

　小塚は相手ゴールを背にした状態でボールを受ける際、相手のプレスを受けても安定した足元の技術で軽くいなす。タメを作ってから30～50m級の中長距離のパスを繰り、前線の2人の駆け引きや、ウイングバックのアタックを引き出している。

「ノリくん（藤本）は足が速くて1発で（相手と）入れ替われるし、阿道だったらボールが収まるし、かつスピードもある。やっぱり2人は僕らの中でも強烈な存在ですし、僕としてはそれをうまくサポートしたいと思っています。

　それに僕が落ちることで、2人との距離が離れることもあるけど、その分、自陣でいい距離感を保てている。そこから大分は全員でボールを運んでビルドアップしていくというより、サイドを起点にしながら前に仕掛けていくサッカーなので、僕は対峙するDFの立ち位置によって、間のポジションを取ることを常に意識してプレーしています。そこで得意とする相手を食いつかせるプレーで、前やサイドにパスを送り込むことを重視しています」

攻撃陣を生かす小塚の存在。

　どんなに距離が離れていても小塚は2人の動き出しを見逃さない。常に顔を上げて、後方からのビルドアップの際に両サイドの攻撃力を引き出すとともに、2人との遠く離れた距離を一瞬にしてゼロにしてしまう。

　空間を自在に操るこの男がいるからこそ、藤本とオナイウは高い位置をキープすることが可能になり、常にDFラインと駆け引きすることができているのだ。それは一見すると中盤が間延びしているように見えるが、この男がいる限り、それは間延びではなく、チームとしての「2人の活かし方」であった。

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