マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
ドラ7の新人が交流戦の首位打者に。
スカウトはなぜ彼を低く評価したか。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2019/06/28 11:30
大卒とはいえ、ドラフト7位のルーキーがこの時期に一軍どころか主力に定着しているのは驚くべき事態だ。
人間が人間を評価することの複雑さ。
人を見て、人を評価する。その合理性、整合性を求めて、球団によってはメジャーのスカウティングシステムをならいながら、ドラフト候補選手たちを100項目以上に細分化して「数値化」し、スカウティングの精度を上げようと努力していると聞いている。
時代の流れは間違いなくそうなのだろうが、もしかしたら、世の中で「マニュアル化」にいちばん苦心することになるのが、この「スカウティング」という分野かもしれない。
「最初に見て、ピーンと来て、こいつや! と思ったら構わないから獲ってこい! どうせわからんのや!」
昭和から平成の前半に活躍されたあるベテランスカウトは、そう言い放っておられた。
人を見る。人を評価する。
人を見て評価するのが、「人間」である以上、スカウティングは最後まで機械や統計では解明できない謎めいた部分を残しながら、野球界にあり続けるように感じている。