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鹿島と広島、何が勝負を分けたのか。
永木「理想ばかり求めても仕方ない」
posted2019/06/26 11:50
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph by
Getty Images
1週間前のファーストレグの静けさから一転、ACLラウンド16広島対鹿島のセカンドレグは、熱さがほとばしる試合となった。
ファーストレグで負傷した安西幸輝と白崎凌兵が先発を外れた鹿島の左サイドは、CBの町田浩樹をSBに、ボランチの名古新太郎をSHに置く布陣となった。ともに守備的な選手ということで、広島の攻撃力を削ぐ思惑があったかもしれない。
しかし、鹿島にアクシデントが起きる。開始4分にCBのチョン・スンヒョンが負傷退場したのだ。
「プランに変更はなかった。プランを変更している時間もなかった。スンヒョンに代わり(関川)郁万が入ったというだけ」と大岩剛監督。ただし「自分たちが後ろへ下がったところは反省すべき点」とも語っている。
実際、試合は広島がボールを保持し続ける状況で進み、鹿島はFWが孤立し、ボールを奪っても選手間の距離が遠かった。
「今日は我慢しようと試合に入った。ピンチの後もそのまま我慢しようと声を掛け合ったし、みんなが同じ方向を向いていた」と三竿健斗は振り返る。相手にボールを持たれ、守備時間が長い展開ではストレスが溜まっても不思議ではないが、ゴールさえ許さなければ、問題ないとポジティブな思考で戦っていたという。
「今日の試合は先制点が重要で、獲れれば勝ち上がりの可能性が高まる」という永木亮太の思惑どおり、33分に名古がフリーであげたクロスのこぼれ球を土居聖真が流し込み、鹿島が先制に成功する。この試合最初のシュートでの得点だった。
後半の戦術変更で広島が逆転。
42分には広島の川辺駿が決定機を迎えたが、ゴールラインぎりぎりで永木がボールを蹴り出し、前半は0-1で終了する。
後半、広島は清水航平に代えてパトリックを投入し、得点を狙う。66分にクロスからパトリックがヘディングでゴールを奪うと、72分には佐々木翔が逆転弾を決める。
シンプルに裏を狙う広島に、鹿島の守備は混乱していた。68分に名古が負傷し、白崎と交代している。
「自分の前の選手と自分とでどう守るべきかという点では課題が残った」と自身のサイドから攻撃を作られていた町田は語った。