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プロ野球広報のある1日。勝っても
負けても、静かで平穏が最良の仕事。 

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高山通史

高山通史Michifumi Takayama

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photograph byKyodo News

posted2019/06/26 12:00

プロ野球広報のある1日。勝っても負けても、静かで平穏が最良の仕事。<Number Web> photograph by Kyodo News

注目のドラフト1位ルーキー吉田輝星の一軍デビューについて、報道陣への囲み取材を設定する。広報の重要な仕事のひとつだ。

試合前の囲み取材では小さな工夫。

 メディアの方々、選手からの異論は受け付けないが、ファイターズでは整理能力の高いF広報と、経験豊富なA広報が主導してスケジューリングしているため、円滑であると自負している。

 試合開始の約4時間前となる午後2時過ぎから、練習がスタートする。栗山監督は毎試合前に、三塁側ベンチ内で報道陣の取材に応じる。「囲み取材」と呼ばれるものである。

 栗山監督の周りを各局のアナウンサー、ディレクター、新聞記者の方々らが取り囲み、監督がその質問の受け答えをする。戦略、選手起用の意図など多岐に渡る。

 通常、要す時間は約10~15分程度である。野球の話題から時に脱線もするアットホームなやり取りとなる。

 この時間は、広報としての業務はないが、少しだけ気を使うとすれば、栗山監督の視界の確保。監督はフリー打撃をしている選手をチェックしながら報道陣とコミュニケーションを取る。レアケースであるが、それを遮らないようにメディアの配置を整えることがある。ビジターゲームでも同様である。

練習中には報道陣に目を配って。

 この「囲み取材」を終えた後、小さなこだわりがある。栗山監督はノックバットを携えて練習をチェックするのがルーティン。取材後に、それを渡す役目が広報となる。

 ジンクスとして連勝中は同一広報がそれを務め、敗戦した翌日には別の広報へとスイッチして厄落としする。チームの勝敗に直接関係しないが、そこは前任の時代から慣例となっているのである。

 約2時間の練習中は、報道陣らと打ち合わせや談笑もしたりしながら練習環境が阻害されていないかなど、目を配りながら過ごす。その間に、対戦相手が球場入りする。先方の広報、選手を含む旧知の関係者の方々と挨拶をする。

 練習が対戦相手と入れ替わり、一区切りとなる。それが午後4時ごろで、試合開始までの残り2時間は広報間での打ち合わせや申し送り、翌日以降の選手の取材スケジュールの調整、メールの返答などグラウンド上、練習中にはできない作業に勤しむ。

【次ページ】 約100枚のメンバー表を素早く配る。

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