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慶応医学部とラグビー部主将。
古田京が二兎を追って得たもの。
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byShigeki Yamamoto
posted2019/06/28 17:00
子供たちにラグビーを教える古田。医学部5年生となった今も、ラグビーとの付き合いは続いている。
「結局、毎週ラグビーやってます」
あれから半年。
古田は医学部5年生として、多忙な日々を送っている。
「結論としては、医学も、ラグビーもどっちもやって良かったです。二兎を追うことによって得られたものはすごく大きかったと思います。
特に、ラグビー部の最後の半年間はとても楽しくて、最後の最後には満足できるプレーも出来たと思っています。それでも学生日本一にはなれなかったので、甘いと言われるかもしれませんが、自分自身、4年間、慶応でやってきたことには自信を持っています」
ラグビーの第一線からは身を退き、いまは病院で見学実習などに追われている。
「トップリーグでもプレーできるかもしれない、とちらっと考えたこともありましたが、やるからには徹底的にやらないと意味がないと思っていました。つまり、ジャパンに選ばれて、ワールドカップで勝つというイメージです。でも、自分の中ではそこまでのイメージは描けなかったんです。
生活の中で大きな意味を占めていたラグビーがなくなり、たしかに今までよりも勉強に当てる時間は増えました。ラグビーに代わるものを探している気はします。それでも、医学の道にいる以上、医学の勉強をして、ここで熱中できるものを見つけなければいけないと思っています」
それでも、楕円球との縁はまだ切れていない。
毎週木曜日には慶応の付属校の後輩たちの指導に当たり、週末には同級生たちと一緒にクラブでラグビーを続けている。
「結局、同級生とは毎週会って、ラグビーやってます」
二兎を追ったからこそ、生涯付き合える友人を得たこともまた、古田京の財産である。