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“ドーハの悲劇”で1点に泣いたGK。
松永成立「ミスしたら叩かれるべき」
text by
岩崎龍一Ryuichi Iwasaki
photograph byRyuichi Iwasaki
posted2019/06/19 17:30
かつで日本代表の守護神として活躍した松永成立。2007年から横浜F・マリノスのGKコーチを務めている。
成長に必要な周囲の厳しい目。
現在のJリーグを見渡すと、日本のGKも昔に比べれば確実に成長しているという。
ただ、その伸びしろの幅をより広くするために、日本全体で日本に合うGK像というものを常に考えていく必要があるという。
「いまは日本代表でも、誰を正GKにするか迷っている時期だと思うんです。一時期の(川口)能活や楢崎(正剛)みたいな絶対的な存在がいない。だからといって人材が急に出現するわけでもない。近道はないわけだから地道にやっていくことが唯一の手法です。
必要になるのは事細かく、とことん追求すること。周囲の厳しい目は、結果として選手の成長の助けになるんですよ」
説得力のある筋道の上に成り立つゴールキーピング理論。伝わってくるのは、完璧を突き詰める求道者の熱気だ。
それも当然だろう。26年前のあの悲劇的な出来事を思い起こせば納得がいく。イラク戦のロスタイムに失った同点ゴール。わずか1ゴールで、松永は夢のW杯出場を逃した。その意味で歴代の日本代表で、1失点の重みを最も知るGKだ。
だからこそ1点の価値に、とことんこだわり続ける。