話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
マリノスのクリリンことマルコスは、
トップ下で気円斬のような切れ味。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/06/04 11:45
マルコス・ジュニオールがゴールを決めると、仲川輝人(左)らとともにドラゴンボールの必殺技を繰り出すのはお馴染みの光景だ。
少ないタッチでパスを出す意識。
「ボールを受けた時、少ないタッチでパスを出すように考えています。本当はもっと(ポジションを)下りてたくさんボールに触りたいんですけど、監督が戦術的に求めているのは、相手ボランチの脇辺りで動いてボールを受けること。自分が下がってボールを受けてしまうとボランチを連れていってしまうので、そこは我慢して監督の言うことを守るようにしています」
攻撃の起点になっているだけに当然、相手のマークは厳しくなる。
湘南は前半、マルコスを自由にさせたことを反省してか、後半はボールが入った瞬間を狙って3人掛かりで潰しにかかったほどだ。
「後半はプレッシャーが厳しかったですね(苦笑)。チェイシングされたし、キー坊(喜田拓也)からボールを受けても2、3人で奪いに来ていた。ただ、そういう時でもフリーで受けられるように考えていかないといけない。
そのためにもっと運動量を増やすことが大事になってくると思います。あと大事なことは2つ、3つとプレーを先読みすることですね。それができれば厳しいマークが来ても問題ないかなと思っています」
かめはめ波と気円斬を繰り出す男。
時折、笑顔を見せて話す様子は、ドラゴンボールに出てくるクリリンにそっくりだ。マルコスは幼少の頃から日本のアニメを見ており、ブラジルでプレーしていた時に自ら頭を剃りあげ、その愛称で呼ばれるようになった。あまりにも好き過ぎて左腕にはクリリンのタトゥーが入っているほどだ。
ゴールパフォーマンスもドラゴンボールから拝借している。フルミネンセ時代はもっぱら「かめはめ波」のポーズでスタジアムを沸かせた。日本でもゴールパフォーマンスはドラゴンボール仕込みで、この日はクリリンの得意技である「気円斬」を見せた。その様子は、アニメそのもので切れ味鋭い、見事なパフォーマンスだった。
ちなみにアニメのクリリンは、「お化け屋敷」が苦手だが、マリノスのクリリンはこれからやってくる日本の蒸し暑い夏に戦々恐々としている。真夏の話になると「日本の夏はどのくらい暑いのか、日本の選手は蒸し暑い夏に慣れているの?」と逆質問してきたほどだ。
「日本の夏は、まだ経験したことがないですから。ブラジルも1月は日差しが強くて暑いのですが、日本の夏はすごく蒸し暑いということを聞いている。体感してみないと分からないですけど、蒸し暑いのはイヤですね(苦笑)」