話が終わったらボールを蹴ろうBACK NUMBER
マリノスのクリリンことマルコスは、
トップ下で気円斬のような切れ味。
posted2019/06/04 11:45
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
J.LEAGUE
「クリリン」の愛称で人気の横浜F・マリノスのマルコス・ジュニオールがピッチで「かめはめ波」を放ちまくっている。
今シーズン、14節まで全試合にスタメン出場し、チームトップの7ゴール、3アシスト。ゴールした試合は4勝2分。「ドラゴンボール」好きとして知られるマルコスが活躍すれば、マリノスは負けなしだ。
12節の神戸戦からはトップ下でプレーし、存在感をさらに増している。リーグ中断前の試合となった31日の湘南戦でも、エジガル・ジュニオの先制点につながるパスを相手DFの背後に出し、チームの3連勝に貢献した。
「あのパスは、スカウティングで裏にスペースが空くというのを聞いていたんです。それを頭に入れて、そのチャンスを探していた。タイミングよく裏に出せてテル(仲川輝人)がいい状態でボールを受け、エジカルもぺナルティーエリア内で準備していたので、ゴールに繋がってよかったです」
マルコスは、青い瞳を輝かせてニコリと笑った。
三好、天野を差し置いてトップ下。
シーズン序盤はサイドハーフ、トップに置かれることが多かったマルコスだが、神戸戦からチームは4-1-2-3から4-2-3-1にシステム変更。トップ下に入って攻撃の中枢を担うようになった。
トップ下候補には三好康児や天野純がいるが、彼らをベンチに置いても起用されていることを考えれば、ポステコグルー監督の信頼が厚いことが見て取れる。
「トップ下は面白いポジションです。よりボールに多く絡めるし、自分のアイデアも活かせます。自由に動いてプレーできるので好きなポジションですし、やりがいがあります。1トップも楽しいですが、ブラジルには『勝っているチームはいじらない』ということわざがあります。今は結果が出ていますし、トップ下を続けていければと思っています」
F・マリノスの攻撃は、ボランチやセンターバックからマルコスに縦パスが入り、彼が起点となって攻撃が始まる。
167cmと小柄ながら前線で体をうまく使ってボールをコントロールしつつ、ダイレクトでパスを展開し、周囲をうまく使ってチャンスを作る。ボールをこねることなく、素早く展開することで攻撃が機能しているのだ。