沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
アーモンドアイは強かったが……。
スタートで全てが崩れた安田記念。
posted2019/06/03 11:30
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Yuji Takahashi
前週の日本ダービーにつづき、またもスタートでのアクシデントにより、大本命が苦杯を嘗める結果となった。
第69回安田記念(6月2日、東京芝1600m、3歳以上GI)で、単勝1.7倍の圧倒的1番人気に支持された最強馬アーモンドアイは、クビ+ハナ差の3着に終わった。スタート直後に他馬に進路を妨害されて立ち遅れる不利が響いた。
勝ったのは、福永祐一が騎乗した4番人気のインディチャンプ(牡4歳、父ステイゴールド、栗東・音無秀孝厩舎)。GI初出走で、春のマイル王の座を獲得した。
ゲートが開いてからの数秒間で、勝敗が決してしまった。
大外16番枠から出た武豊のロジクライが、スタートしてから2、3完歩目で内に大きく斜行した。それにより、隣の15番から出た2番人気のダノンプレミアム、14番アーモンドアイ、13番ペルシアンナイト、12番ロードクエストの4頭の進路が妨害された。
武はこう話した。
「スタートはまっすぐ出たのですが、(馬が)物見をして内にヨレてしまった。3、4頭に迷惑をかけてしまい、申し訳ないです」
ルメール「GIのマイルでスタートは……」
ロジクライが急激に切れ込んだことにより、少し遅れ気味に出たダノンプレミアムが内に押し込まれ、さらに内のアーモンドアイ、ペルシアンナイトも、ドミノ倒しのように押圧される格好になった。ペルシアンナイトは、外のアーモンドアイと内のロードクエストに挟まれるような格好で後退し、鞍上のミルコ・デムーロが、鞍に腰を落とすほどのロスとなった。
デムーロはいつもなら負けてもすぐ囲み取材に応じるのだが、さすがにこのレースのあとは検量室に入ったまま「スタートはよかったんだけど……」と言葉少なで、厳しい表情を崩さなかった。
アーモンドアイも、ゲートを出たなりで進むことができていれば、楽に中団につけていただろう。
騎乗したクリストフ・ルメールはこう振り返る。
「スタートで5馬身ぐらいロスがあった。GIのマイルでスタートはすごく大事。しょうがない。道中は冷静に走ってくれた」