霜田監督「こんなとこまで来るの？」

　霜田正浩監督を招聘した昨季のプレシーズン、レノファ山口は初の海外キャンプを行なった。そのキャンプ地であるタイまで取材にやってきたメディアは、楢崎をはじめとする「みんレノ」のスタッフだけだった。

「霜田さんは『こんなところまで来るの？』って驚いていましたが、チームの本気度、監督の生の声を届けたかったので、それだけの熱量をかける意味はありました」

　とはいえ、レノファ山口がyabの独占になってしまっては意味がないという。

「レノファと言えばyab、というイメージになって、他局が手をひいてしまうことは避けたい。yabを観てない層って、たくさんいるんです。山口にサッカーを根付かせ、山口を盛り上げるためには、県東部のKRY（山口放送）をはじめ、みんなの力が必要なんです。メディア・スクラムを組んで、本気で盛り上げていきたいですね」

いつか浦和サポが湯田温泉街に。

　十川も、サッカーの持つ力、可能性について、こう語る。

「Jリーグがなければ、どれだけの人が鹿嶋や磐田、鳥栖を訪れることがあったか。山口も同じ。本州最西端の県を訪れる機会なんて、滅多にないはず。もし、レノファがJ1に上がったら、浦和レッズのサポーターで湯田温泉街が真っ赤に染まってしまうかもしれない。それって、凄いことですよね」

　おそらく十川や楢崎のように、サッカーで地域を盛り上げたいと願う人たちは、全国にいるに違いない。そうした人たちにとって、彼らのチャレンジは、情熱は、大きなヒントとなり、支えになることだろう。

　Jクラブがホームとする地方都市の地方局に、「みんレノ」のような番組が増えていけば――。

　Jリーグ百年構想は27年目に入った。サッカーで言えば、前半の半ばを過ぎたところ。ゲームが面白くなるのは、これからだ。