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久保建英と中村俊輔の共通点とは。
「自分を客観視する」能力の重要性。
posted2019/05/30 14:00
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Yoshiharu Ota
「バルセロナから来た天才少年」「17歳でA代表」「FC東京快進撃を引っ張るワンダーボーイ」……。
久保建英を簡単に紹介すれば、こんな感じだろう。ただ、その実像、人間性は意外に知られていない。むしろ、ミステリアスな存在とさえ言える。
これまで彼がまとまったインタビューをほとんど受けてこなかったことは、その1つの要因だろう。
Number979号「日本サッカー 天才伝説」特集では、そんな久保に表紙と巻頭記事へ登場してもらった。雑誌、新聞、TVを通じても初のロングインタビューである。
いかなる人物なのか。もうすぐ18歳になろうとする少年が姿を現すまで、緊張感が取材陣を包み込んでいた。
久保建英を簡単に紹介すれば、こんな感じだろう。ただ、その実像、人間性は意外に知られていない。むしろ、ミステリアスな存在とさえ言える。
これまで彼がまとまったインタビューをほとんど受けてこなかったことは、その1つの要因だろう。
Number979号「日本サッカー 天才伝説」特集では、そんな久保に表紙と巻頭記事へ登場してもらった。雑誌、新聞、TVを通じても初のロングインタビューである。
いかなる人物なのか。もうすぐ18歳になろうとする少年が姿を現すまで、緊張感が取材陣を包み込んでいた。
「ミステリ小説なんかを読みます。東野圭吾さんとか、宮部みゆきさんとか」
そう聞いて、一気に親近感が増した。
久保は礼儀正しく、快活で、極めて論理的で頭の回転の速い若者だった。話が日常生活に及んで、彼が趣味として挙げたのが読書であり、なかでも名前が出たのが上記の言葉だった。もちろんいずれ劣らぬベストセラー作家だ。読んでいたからといって何の不思議もないセレクトではある。
ただ、極めて余暇の時間の限られるスポーツ選手で、かつ少年時代の海外生活も長かった久保のような人物が、疲労回復のためにリラックスに充ててもいいような時間に日本の小説を好んで読んでいる。そのことに、親近感を覚えつつ意外な思いも交錯した。
久保の非常に協力的な対応で、充実した取材が終わった。その日は、それ以上のことは気にしていなかった。
理論的に納得して、成長を見せる。
「彼のサッカー人生そのものが小説のようだから」
中西哲生の言葉に、ハッとした。
元Jリーガーでスポーツジャーナリスト、サッカー選手のパーソナルコーチも務める中西は、縁あって少年時代から久保をよく知る人物である。その彼に久保のパーソナリティを語ってもらうのが、この日の取材だった。
そこで飛び出した「種明かし」のような発言。もちろん久保が小説好きであることを知ったうえでの評なのだが、「深く物事を突き詰めるタイプ。理論的に納得したうえで、その伏線を回収するかのような成長を見せる」という説明を聞き、こじつけめくが「ミステリ小説」とつながったような気がした。