“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
湘南・曹監督がサプライズ視察!
高3若月大和が目指すべきFW像とは。
posted2019/05/08 11:15
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph by
Takahito Ando
大型ゴールデンウィーク終盤となった5月5日、JR巣鴨駅に隣接した三菱養和会巣鴨スポーツセンターグラウンドで行われたプリンスリーグ関東第5節の三菱養和SCユースvs.桐生第一高校の一戦。
ピッチ上で引き締まった表情を見せてプレーする選手と、それをスタンドから食い入るように見つめる指揮官の姿があった。
桐生第一のFW若月大和は、すでに来季の湘南ベルマーレへの加入が内定している。4月10日のルヴァンカップ・北海道コンサドーレ札幌戦に途中出場を果たし、すでにプロデビューを飾っている逸材だ。そして、その若月をスタンドから見ていた人物こそ、湘南の指揮を執る曹貴裁監督だった。
「日曜日が休みに重なることは、監督をやってきてあまりないことなんです。しかもこの試合があると聞いて、さらに大和は明日から練習に参加する。なんかの巡り合わせだと思ったので来ました」
曹監督が期待を寄せる高校3年生。
曹監督は本人に予告なくスタジアムに現れた。筆者は前日の湘南ベルマーレvs.名古屋グランパス戦で話をした曹監督との会話で、この試合の観戦に訪れることを聞いていたが、何より若月のことを話題に挙げた時に「(グランパス戦の)終盤にあいつを投入していたら、ちょっと面白いことが起こったかも」と口にしていたことがずっと頭に残っていた。
曹監督は若月を評価し、大きな興味を抱いているからこそ、ここに足を運んだ。改めて彼の評価を聞いてみると、こう返ってきた。
「大和は(年齢が近い)杉岡大暉や齊藤未月、鈴木冬一と違って、いい意味で完成されていないところがある。トルコキャンプに連れて行った時も、1回ミスをした後に、下を向かないでもう1度裏に出て行ったりとか、そういうことをあの年代でやれることは驚いた。
なので、彼をあまり小さくまとめないで育てていきたい。その中で自チーム(桐生第一)でプレーしているのは見たことないので、どういうプレーをするのか純粋に見たいなと。練習に呼んで見ているだけなので、明日からうちの練習に参加するにあたって、どんなことを考えてどうプレーしているかは、今後の大きな参考になると思う」
鋭い視線がピッチに送り込まれる中、試合は始まった。