“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER

湘南・曹監督がサプライズ視察!
高3若月大和が目指すべきFW像とは。 

text by

安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

PROFILE

photograph byTakahito Ando

posted2019/05/08 11:15

湘南・曹監督がサプライズ視察!高3若月大和が目指すべきFW像とは。<Number Web> photograph by Takahito Ando

すでに湘南ベルマーレへの来季加入内定が発表されているFW若月大和。視察に訪れた曹監督も大きな期待を寄せる。

曹監督の評価は?

 だが、曹監督の試合後の評価は少し違った。

「今日は相手選手が前と後ろに1人ずつ常にいる中で、前に行く姿勢や五分五分のボールを自分のものにすることなど、そういうプレーは見えた。今、それに対してあまり多くのことを求めるより、それをずっと突き詰めていって、どれだけ当たり前のようにできるかを求めたいですね。

 それに高校年代の試合では常に密着マークを受けて、複数にも囲まれる状況下でプレーし続ければ、自然とその環境も厳しいものになる。冬一もそうでしたが、大和もそういう土台のところでやっているので、プロの舞台でアジャストしてくると非常に面白い。でも逆に『これしかやってきませんでした』では、監督によっては『軽いな』とか、『守備できないな』とか、そういう部分に目が向いてしまう。大和にはそれがないし、少し尖ったところがあるので、面白いと思います」

 勝ちたい。点を取りたい。そう本気で思っているからこそ、全力で、がむしゃらにやる。うまくいかなくても何度も何度もトライして、打開策を見出そうとする。その姿勢こそ、若月大和の魅力であった。

プリンスリーグ、Jリーグ、そしてU-17W杯。

「え、いらっしゃっていたんですか?」

 試合後、若月と話をした時、曹監督が視察をしていたことに触れると、驚いた様子を見せていた。だが、監督の言葉を伝えると、表情は引き締まった。

「確かに周りの環境は変わりました。それまでは僕に特定のマークはあまりつかなかったので、スピードを生かして好きなところに走ってボールを受けることができた。でも、今年は常に自分がボールをもらうために動かないといけないし、逆に僕が囮にならないといけない。マークをつけるチームは2、3枚つけてくるので、その中で自分に何ができるかを考えなくちゃいけません。

 それに今年はチームでハイレベルなプリンスリーグ関東を戦い抜いて残留すること、ベルマーレで試合に出ること、U-17日本代表に入ってU-17W杯に出ることなど、多くの明確な目標を持つことができる、非常にありがたい環境にいます。全国でもそんな選手は僕だけだと思うので、そこは感謝しています。だからこそ、甘えることなく、自分が凄く成長できるチャンスをものにしていきたい。

 それだけに今日のプレーは本当に反省です。冷静にジャッジすべきところ、点を取りきるところ、チームのためにできることを増やすことを曹さんの元でもっと学びたい。球際の激しさとか、自分の目の前でボールを持った相手に対して本気で行くというコンセプトを持ち続け、それを桐生第一でのプレーでも自分の当たり前にしていかないといけない。どんな環境でも、攻撃でも守備でも自分が起点になれるようになりたい」

【次ページ】 柴田、鈴木らライバルひしめく湘南。

BACK 1 2 3 4 5 NEXT
#湘南ベルマーレ
#若月大和
#曹貴裁
#桐生第一高校

Jリーグの前後の記事

ページトップ