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大阪桐蔭時代のライバル投手が贈る、
「背番号1」藤浪晋太郎へのエール。
text by
谷川良介Ryosuke Tanikawa
photograph byAsami Enomoto
posted2019/05/04 08:00
藤浪晋太郎、澤田圭佑の2人に次ぐ存在だった平尾奎太。社会人野球でその実力を磨く日々だ。
「感覚ひとつ掴めれば……」
3年連続2桁勝利。プロ入り後の藤浪の華々しい活躍は平尾を強く刺激した。だが、その藤浪も今、不調に苦しんでいる。復活を期する今季も堂々とした投球はまだない。
「常に上を目指す、好奇心の塊のようなやつなんです。その過程で多少崩れることはある。いろんな意見を耳にしますが、近くで見てきた人たちはそんなに心配していないはず。投げている球は今もすごい。感覚ひとつ掴めれば、すぐに戻ってきますよ」
すぐに戻ってくる。平尾は、ためらわずにそう答えた。課題から逃げず、実直に向き合ってきた藤浪を誰よりも知っているからこそ、その復活を、あの夏を超えるエースとして帰ってくることを、信じられる。
次は自分が成長した姿を見せる番だ。彼の言葉にはそんな思いも溢れる。2人が歩む先の空は、あの夏よりもきっと青い。
(『藤浪晋太郎 6年前の背番号1を追い抜くために。』より)