炎の一筆入魂BACK NUMBER
カープの「幹」を担う重責に抗って。
誠也が復帰、あとは田中広輔だけだ。
text by
前原淳Jun Maehara
photograph byKyodo News
posted2019/04/29 11:30
28日ヤクルト戦でスタメン復帰した鈴木誠也。頼れる主砲がさらにチームを勢いづけるはずだ。
遊撃の座を狙うのは小園、西川ら。
広島の遊撃を聖域としたのは昨季までの田中の実績であり、主力へと上りつめた成果といえる。だが、このまま上がり目がみられなければ、若い小園海斗だけでなく、打力の高い西川龍馬などと競わされるだろう。勝負の世界の宿命でもある。
一度主力になったとしても、そこに安住できるわけではないのがプロの世界。自分の力を示し、自分の力で守り続ければいけない。
グッと耐えることの重要さは、菊池涼が示している。
今季はここまで、菊池はつなぎ役に徹すればいい状況ではなかった。不振の1番と固定されない3番の間で、我慢の日々を過ごす。それでも春季キャンプの打撃練習から徹底してきた右打ちを継続。バントや進塁打を積み重ねながら、28日には打率を3割に乗せた。
待たれる1番田中の復調。
幹が支えている間に、枝葉となる選手たちが成長することで、新たな幹となる……。根を深くに伸ばすことで、幹はさらに太くなる。會澤はベテランの石原慶幸や小窪哲也とともに精神的支柱に成長した。菊池涼はグッと耐え、替えが利かない主砲鈴木が帰ってきた。あとは田中広だ。
たとえ1人がつまずいても、他が補えばいい。補い合うのがチームというものだ。ただ、主力の働きが広島浮上の幹となるのは間違いない。