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フィエールマン&ルメールの大快挙。
天皇賞・春で示した巨大な潜在能力。
posted2019/04/29 11:15
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kyodo News
平成最後のGIで、名手と名馬が競馬史に輝かしい足跡を刻みつけた。
第159回天皇賞・春(4月28日、京都芝外回り3200m、4歳以上GI)を、クリストフ・ルメールが騎乗する1番人気のフィエールマン(牡4歳、父ディープインパクト、美浦・手塚貴久厩舎、ノーザンファーム生産)が優勝。ルメールは騎手として史上3人目、フィエールマンの父ディープインパクトは史上4頭目の産駒による8大競走完全制覇という偉業を達成した。
最初の1000mは59秒8。長距離戦にしては速い流れになった。フィエールマンは、先頭から10馬身ほど離れた中団につけた。
そして、次の1000m(1周目のスタンド前から向正面半ばまで)が1分4秒2という超スローになると、それを待っていたかのように前との差を詰め、先頭から4馬身ほどのところに押し上げた。
みながゆっくり走る区間で多少スピードを上げても、さして負担にならない。そうして、いつでも前をつかまえられる場所につけて、またそこでピタッと折り合った。
普通は、ちょっと促しただけでスイッチが入って加速し、止まらなくなるのだが、フィエールマンは動いた先できちんと収まることができる。ルメールが技術で「収めている」のかもしれないが、このあたりの機動力は大きな武器になる。
ルメール「馬が走りたがっていたので」
3、4コーナーで、ミルコ・デムーロのエタリオウ、戸崎圭太のグローリーヴェイズといった有力馬が追い上げてくると、その圧力を追い風にするように、持ったままで先頭に並びかけた。
「馬が走りたがっていたので、自分から動いて行きました」とルメール。
4コーナーを回りながら先頭に立ち、直線へ。
外に馬体を併せてきたグローリーヴェイズとの激しい叩き合いが始まった。
戸崎の左鞭を受けて伸びたグローリーヴェイズに一瞬かわされそうに見えたが、ラスト100mでルメールの左ステッキが入るとさらに加速。フィエールマンは、最後まで力強くストライドを伸ばし、先頭でゴールを駆け抜けた。
首差の2着がグローリーヴェイズ。そこから6馬身離れた3着がパフォーマプロミス、4着がエタリオウだった。