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GI馬の“休み明け圧勝”を支える
ノーザンファーム天栄の底力。
~ぶっつけ本番がもはや定着~
posted2019/05/02 15:00
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph by
KYODO
桜花賞圧勝のグランアレグリア(牝3歳、美浦・藤沢和雄厩舎)は、暮れの朝日杯FS3着から中111日をあけての狙いすましたロングシュートを決めた形。今年の初戦がクラシックレース本番という臨戦過程は、以前なら故障などの非常時以外には考えられなかったが、近年は異例とも言えなくなってきている。実際、その前週にドバイターフ(アラブ首長国連邦・ドバイ、メイダン競馬場、芝1800m、G1)を快勝して世界にその名を轟かせたアーモンドアイ(牝4歳、美浦・国枝栄厩舎)も、昨秋のジャパンC1着以来の休み明けだった。
2頭の共通点は、長いレース間隔のほとんどの時間を「ノーザンファーム天栄」で調整されてきたところにある。福島県岩瀬郡天栄村にある250馬房を超える大規模施設は、その名で分かる通り、ノーザンファーム傘下の競走馬トレーニングセンター。前身は、ビワハヤヒデやナリタブライアンなどの名馬を次々に輩出して一世を風靡した資生園早田牧場が興した「天栄ホースパーク」だが、'02年に同牧場が倒産したあとをノーザンが引き継ぎ、マイナーチェンジを幾度も重ねて理想に近い育成牧場にたどり着いた。坂路コースの高低差は、美浦トレセンの18m、栗東トレセンの32mを上回る36m。長く続いた西高東低の勢力図から、関東馬が逆転の流れに持ち込みつつある要因として、天栄の威力をあげる声が多く聞こえる。主に美浦所属のノーザンファーム生産馬が利用しているが、友道康夫調教師など、栗東所属のノーザン馬も、調整先として天栄を指名して利用しているケースが目立ってきた。