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ポーランドへ、韓国へ飛んだ「翼」。
苦労人MFは元大学王者の1人だった。
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph byAFLO
posted2019/04/25 17:00
ACLグループリーグF第4節で広島MF川辺駿(左)と競り合う大邱MF西翼(右)。先日、Kリーグ初ゴールを挙げた。
選手権出場、大学では優勝を経験。
西翼の名前を知る人はそれほど多くないだろう。それもそのはず。彼はJリーグでプレーしたことがないプロサッカー選手だからだ。
1990年生まれの29歳。経歴を見ると、学生時代はそれなりの実績を残している。
熊本のルーテル学院中学校在籍時に全国中学校サッカー大会で優勝し、同高校時代は2年の時に第86回全国高校選手権大会にも出場を果たしている。専修大学ではサッカー部に所属し、2012年に関東大学サッカーリーグで優勝も経験。
アマチュア時代はそれこそ全国で名をはせた選手のように見えるが、実はその大学時代にかなり悔しい思いをしていた。
Jで活躍する元チームメイトたち。
23日の広島戦が終わり、敗戦した韓国の選手たちがバスに乗り込むなか、西に声をかけるとしっかりと足を止めたくれた。ミックスゾーンでの短い時間のなか、西は当時のことを振り返る。
「自分は大学時代、そんなに試合に出られなかったんです。専修大では活躍していたのは年上で京都サンガのMF庄司悦大さん、松本山雅のMF町田也真人さん(共に89年生まれ)下の年代だと浦和レッズのMF長澤和輝、川崎フロンターレのMF下田北斗(共に91年生まれ)、横浜F・マリノスのFW仲川輝人(92年生まれ)とかがそうです」
名前を聞くとJリーグで活躍している選手たちばかりだ。当時の専修大は“黄金期”で、'11年から'14年まで関東大学リーグ4連覇を達成している。その原動力となったのが、西が名前を挙げた選手たちである。
'11年に庄司はキャプテンを務め、町田は10番を背負い、関東大学リーグ初優勝へ導いた。長澤と下田は大学2年からレギュラーに定着し、リーグ3連覇を経験。仲川も大学1年時から公式戦に出場しており、当時から「大学ナンバーワンストライカー」と呼ばれるほどゴールを量産し、リーグ4連覇に貢献した。
西は彼らのように注目される選手ではなかったのだ。ただ、彼らと同じように、サッカーで飯を食うということを最後まで諦めてはいなかった。