サムライブルーの原材料BACK NUMBER
中澤から腕章、中町から8番を継承。
喜田拓也はマリノスの新シンボル。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/04/12 07:00
ポステコグルー体制で大胆なスタイルに挑んでいるマリノス。喜田拓也はそこで新境地を見出している。
「体のサイズにハンデを感じない」
守備の終点は、攻撃の起点。パスを散らして組み立てを担い、チャンスとみるや積極果敢に上がっていく。ボールが味方にあろうと、敵にあろうと、ニラみを利かせた背番号8が大きく見える。
頑張るだけ、精いっぱいやるだけでは、求められる仕事はこなせない。170cmの小柄な体だろうが、いい位置に入ることで相手に仕事をやらせない。
「次のプレーを考えて、1歩、2歩のポジショニングを大切にしています。それで次のプレーが違ってきますから。身長差や体のサイズに、ハンデを感じたことはないですね」
守の予測と捕捉に、攻の加速がかみ合うのは、なぜなのか。
プレーのなかに、マインドのなかに、その答えはある。
「いいものは引き継いでいかないといけない。ただ一方で変化を怖れない気持ちも大切にしていかないといけない。その両方をバランス良く、気をつけながら前に進んでいく必要があるかなと思っています」
伝統と革新の融合――。
喜田拓也は、そのシンボリックな存在になりつつある。