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藤枝36歳DF秋本倫孝の心に刺さった、
タイの地で戦う日本人の姿。
posted2019/04/11 10:00
text by
渡辺功Isao Watanabe
photograph by
J.LEAGUE
昨シーズンのベストイレブンに輝いたMFチャナティップ(北海道コンサドーレ札幌)を筆頭に、日本で多くのタイ人選手が活躍。また日本代表経験のあるFWハーフナー・マイクがバンコク・ユナイテッドFCに移籍するなど、日本とタイ両国の間のフットボーラーの往来は、すっかり定着した感がある。
2015年初夏からタイでプレー、今シーズン3年半ぶりにJリーグに復帰した藤枝MYFCのDF秋本倫孝も、異国で過ごした時間を笑顔で振り返る。
「面白い3年半でしたよ。自分の世界が広がったし、考え方もまるっきり変わりました」
Jリーグで10年プレー、32歳で無職。
'05年ヴァンフォーレ甲府に入団。以来、ヘディングと1対1の強さを武器に、京都サンガ、カターレ富山と10シーズンに渡って、リーグ戦通算261試合に出場した。が、富山との契約が終わった'14年オフ、次にプレーする場所がなかなか見つからなかった。
「これは、もう自分はJリーグで必要とされていない。需要がなくなったってことなんだなと思っていたら、年末に三浦泰年さんから『来年、タイのチエンマイFCの監督をやることになったんだけど、一緒にやらないか』と、声を掛けていただいたんです」
これがタイとの初めての接点だった。
ところが、年が明けると、クラブオーナーの意向で、入団話は消滅。タイで他のチームを探してはみたものの、どこも補強の時期はすでに終わっており、「32歳にして無職」の日々を過ごすことになった。
それでも現役を続ける道を模索して、日本で自主トレに励んでいた5月中旬。'12年からタイでプレーしていた甲府時代のチームメイト、宇留野純の連絡で「タイ・ホンダFC」の滝雅美監督を紹介される。すぐさま再びタイを訪れ、練習参加の機会を得た。