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アジアNo.1選手のソン・フンミン。
26歳、トッテナムでの栄光を検証。
text by
ティエリー・マルシャンThierry Marchand
photograph byPierre Lahalle/L'Equipe
posted2019/03/31 08:00
今季、ソン・フンミンがゴールを決めた試合はすべてトッテナムが勝利している。もはや、チームにかかせない存在だ。
プレミアへの順応は簡単ではなかった。
とはいえプレミアリーグへの適応は簡単ではなかった。
最初のシーズン(2015-'16年)は影が薄く、終了後はブンデスリーガ復帰の話さえ現実味を帯びていた。
もともと彼はドイツで頭角を現した選手である。
2008年に16歳でハンブルガーSVに加入。2013-'15年のレバークーゼンでの活躍が彼を一躍有名にした。韓国でドイツ語を学びはじめたのは、そのころからドイツに行くことを考えていたからだろう。
しかし、ポチェッティーノの我慢は実を結んだ。
2016年5月15日、アウェーでニューカッスルに5-1と大敗した翌日、失意のうちに前半だけで交代したソンとポチェッティーノは長く話しあった。ポッチ(ポチェッティーノの愛称)が彼に求めたのは、個人プレーに走らず、以前のように自分の良さを引き出すためにチームプレーに献身することだった。
それから4カ月後……ソンはプレミア月間最優秀選手に選ばれた。さらに翌年4月にも、6試合で5ゴールをあげて同じ賞を獲得したのだった。
ポチェッティーノの要求は厳しい。
ワールドカップのためにチーム合流が遅れた今季、当初は右サイドでプレーした。
ポチェッティーノのスタイルは選手への要求が厳しく、膨大なエネルギーの消費と高い位置でボールを奪うための激しいプレスを求められる。
攻撃の際にはトライアングルを形成し、ボール保持者のために常にふたつのパスの出しどころを確保しなければならない。
フォワードに求められるのは、プレーに縦の深さを与えるために相手を切り裂き、スペースを有効に利用するためのスピードである。