フランス・フットボール通信BACK NUMBER
アジアNo.1選手のソン・フンミン。
26歳、トッテナムでの栄光を検証。
posted2019/03/31 08:00
text by
ティエリー・マルシャンThierry Marchand
photograph by
Pierre Lahalle/L'Equipe
ソン・フンミン(孫興民)が今日のアジアNo.1プレイヤーであることに異論はないだろう。ここ数年のトッテナム・ホットスパーでの活躍ぶりは、韓国人、アジア人の枠を超えた、世界トップレベルのスター選手のそれである。
AFCが選出するアジア最優秀選手賞にこそ1度も選ばれていないものの――クアラルンプールでの授賞式に出席可能な選手しか選ばないため――国際最優秀選手賞は2度受賞(2015、'17年)し、筆者(田村)が投票委員を務める中国・体育週報(Titan Sports)のアジア最優秀選手にも4度(2014、'15、'17、'18年)選ばれている。
『フランス・フットボール』誌3月5日発売号では、ティエリー・マルシャン記者がそのソン・フンミンについてレポートしている。今やスパーズでハリー・ケインやデル・アリ以上の輝きを放つソンを、フランスのジャーナリストはどう見ているかをここに明らかにする。
監修:田村修一
アリやケインよりも……ソンである。
もはやトッテナム・ホットスパーの攻撃は、デレ・アリにもハリー・ケインにも頼る必要はないのか――。
今季のソンの成功は、2019年のはじめから続いているふたりの中心選手の欠場を、補って余りあるものだった。イングランド代表主将のケインが、1月13日のマンチェスター・ユナイテッド戦(0-1)で足首を負傷してから2月23日のバーンリー戦でチームに復帰するまで、スパーズは5試合を戦い5連勝と好調を維持した。この間にソンは、すべての公式戦を合わせて4ゴールも決めている。ケインが戻ってきたバーンリー戦が、スパーズのひと月半ぶりの敗戦となったのだった。
ハリー・ケイン抜きでスパーズは、リーグのすべての試合に勝利しているのに対し(ケインが出場したときは67%)、ソンが欠場したときの勝率は67%に過ぎない(出場の場合は82%で勝利している)。
この数字は何かの間違いなのか?
そうではない。この数字こそが、ソンがマウリシオ・ポチェッティーノ率いるスパーズの真の中心であることを示すものであるといえるのだ。