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アジアNo.1選手のソン・フンミン。
26歳、トッテナムでの栄光を検証。
text by
ティエリー・マルシャンThierry Marchand
photograph byPierre Lahalle/L'Equipe
posted2019/03/31 08:00
今季、ソン・フンミンがゴールを決めた試合はすべてトッテナムが勝利している。もはや、チームにかかせない存在だ。
アジア大会優勝で兵役免除も獲得。
昨年夏以降、彼のスケジュールは過酷を極めている。
8月半ばのジャカルタ・アジア大会、今年1月のUAEアジアカップのために3万7000km以上の移動を強いられたからだ。アジア大会では見事優勝を果たし、2年間の兵役を免除された。
アジアカップでは準々決勝で優勝したカタールに敗れた直後に、クラブの強い要請を受けてロンドンに取って返した。チームに合流した数時間後には、ワトフォード戦(2-1)でゴールを決めてチームの勝利に貢献した。
今や押しも押されもせぬ韓国サッカー界最大のスターである。
その人気は圧倒的で、彼の試合のためにロンドンには10人以上の韓国人ジャーナリストが常駐している。昨年秋のチェルシー戦のゴールは、スパーズのビデオゲームにも取り入れられたのだった。
もはやパク・チソンを越えたか……。
彼は、もはやいち選手以上の存在である。
ビッグビジネスの対象であり、崇拝すべきカリスマであるとさえいえる。
2年前にスパーズがアジアツアーで韓国を訪れた際、ソウルの空港は彼の凱旋を待つファンで大混乱に陥った。同じことはプレシーズンツアーで訪問したロスアンゼルスの韓国人街でも起こった。
尊敬してやまないパク・チソン(朴智星/元マンチェスター・ユナイテッド)を越える存在となった今も、彼はロンドンの質素なマンションで両親と静かに暮らしている。
ピッチを離れたソンは、ごく普通の慎み深い若者にすぎない。
それもまた、彼が人々を惹きつけてやまない理由のひとつである。