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アジアNo.1選手のソン・フンミン。
26歳、トッテナムでの栄光を検証。
text by
ティエリー・マルシャンThierry Marchand
photograph byPierre Lahalle/L'Equipe
posted2019/03/31 08:00
今季、ソン・フンミンがゴールを決めた試合はすべてトッテナムが勝利している。もはや、チームにかかせない存在だ。
ソンは全プレーを高レベルでこなす。
トッテナムでの2シーズン目以降、ソンは左サイドを定位置にしていた。今はそれも少し変わって、ケインがプレーする際には彼と完璧な補完関係を保ちつつ、自由に動く偽の10番の役割を担っている。
そのコレクティブなセンスとポジション感覚、ポリバレントな能力、流動的に動いてスペースを作り出す巧さ、スピードと爆発力(ルーカス・モウラを差し置いてチーム一の俊足であり、1試合に平均20回のスプリントをおこなっている)、戦術的ディシプリンと精神力の強さ、左右両足を完璧に使いこなせるソンは、トッテナムの強力な武器であるカウンターアタックになくてはならない存在である。
もちろんシュートの力強さは言うまでもない。ソンこそは、すべてをひとりで成し遂げられるダイナモなのである。
性格が素晴らしく、仲間から愛されている。
彼は性格も素晴らしく、ロッカールームでもチームメイトに好かれている。彼らがソンに好意を抱くのは、ときどき焼き肉を振る舞うからばかりではない。ハリー・ケインはこう語っている。
「彼は常に輝いている。ピッチの上では、然るべきときに然るべき場所に常に現れる」
今季、ケインはソンとともに13試合に先発出場し13ゴールをあげた。ソンを欠いた9試合での得点は3に過ぎない。
ケインにとっても彼は必要不可欠な存在であるのである。
今シーズンのスパーズは、1試合当たり2.8得点をあげている。だがソンが不在の試合では、それが1.6点まで低下する。彼がチームの24得点(18ゴール、6アシスト)に絡んでいるからだ。そして彼が得点した13試合では、すべての試合で勝利を収めている。ソンは太陽の光ではない。光り輝く太陽そのものであるといえる。