球体とリズムBACK NUMBER
湘南・齊藤未月の褒めすぎに注意!
目標はカンテ、大先輩とも言い合う。
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph byJ.LEAGUE
posted2019/03/28 10:30
イニエスタ相手にも臆さないチェックが話題になった齊藤未月。それくらいの強さを見せる有望株がいても、いい。
「カンテはオレのなかで主役」
「好きな選手は(エンゴロ・)カンテ。黒子と言われたりもしますけど、オレのなかで彼は主役です」
フランス代表とチェルシーで活躍する「憧れ」の存在と同様に、齊藤の一番のアピールポイントはボールを奪う能力だ。最近では、そのあとの判断や推進力にも成長の跡がうかがえる。「そこに関しては、日本一、いや世界でもナンバーワンを目指しています」と本人はきっぱりと言い切る。
自分の意見を臆さずに発言できることも、彼の魅力のひとつだ。幼稚園から小学校卒業までインターナショナルスクールに通った齊藤は、自分の思いや考えをオープンにすることが奨励される環境で育った。
「親がインターに入れてくれたのは、大きいと思います。自分の性格もあると思いますけど、発言を躊躇することはあまりないです。それがいつもいいことかどうかはわからないですけど」と自身は打ち明ける。
日本の社会において、それがいつどこででも喜ばれることかは、僕にもわからない。つい先日に発表された国連の関連団体による世界の幸福度ランキングで、この国の寛容性が156カ国中92位だったように。
秋元と梅崎の言い合いに……。
ただし世界が舞台のフットボールにおいて、それはチームのためになることが多い。昨季のJ1第14節・清水エスパルス戦(2-4の敗北)の後、GK秋元陽太がMF梅崎司に詰め寄り、激しい言い争いに発展。曹貴裁監督が「あれで変わるだろうな」と感じたという、ベルマーレのさらなる団結と成熟につながる場面で、ひとまわり年上の梅崎にはっきりと指摘したのが齊藤だった。
「未月は育成上がりで、ベルマーレに対する思いは本当に強いと思います」と秋元は言う。「あの時も未月が梅さんに、何がダメだったかをちゃんと言葉にしてくれた。それは特に今の若い選手に足りないところですが、未月は言いにくいことでも、ズバッと言ってくれます。このチームに必要なことです」