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湘南・齊藤未月の褒めすぎに注意!
目標はカンテ、大先輩とも言い合う。
posted2019/03/28 10:30
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
J.LEAGUE
「若手を褒めるのは危険なことだ」と言ったのは、マンチェスター・シティのペップ・グアルディオラ監督だ。選手と指導者の双方で長年トップ中のトップレベルに身を置いてきた48歳は、これまでに大成できなかった神童をたくさん見てきたはずだ。
だから若い選手が輝きを放ったとしても、手放しで称賛したり、必要以上に持ち上げたりするのは「危険だ」と考えているのだろう。
とはいえ次世代のホープがシーンに台頭するとき、そこに期待感が生まれるのは自然なことでもある。その選手が地元出身の生え抜きであれば、周囲の想いはより強くなる。
東京五輪で栄光を狙うU-22日本代表に、湘南ベルマーレの齊藤未月が初招集された(怪我のために辞退した昨年11月に続き、今回は途中離脱)。クラブのホームタウンのひとつ、神奈川県藤沢市に生まれ、今はなき湘南ベルマーレジュニアに在籍した最後の世代のひとり。そこからU-15、ユースを経てファーストチームに到達した正真正銘の湘南産だ。
U-22遠征に飛び級で招集。
1999年1月10日生まれの20歳のセントラルMFは、昨年のU-19日本代表では主将を務めている。つまり今回のU-22代表のミャンマー遠征には飛び級での招集であった。
「(選出されて)光栄です。(自分の国で開催される五輪は)人生で一度あるかないか。オレが東京五輪に出場できれば、サッカーに詳しくない人を含めて、友達や学校の先生、もちろん家族も喜んでくれると思う。出たい気持ちは強いです」
U-22代表メンバーが発表された日の翌日、湘南の練習後に初めて彼と膝を突き合わせた。芯の強そうな、いい目をしている。笑うと並びの良い白い歯がこぼれ、僕が異性なら夢中になるかもしれない。昭和の銀幕が似合いそうな男っぷりだ。配役は本人の言葉に委ねることにする。